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イタリア: 内実は傷だらけの“外見重視”の国

  • スティーブ・モリヤマ

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2008年4月10日(木)

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イタリアの国旗

イタリアの国旗

 イタリア人にとって、外見は重要だ。それは出世にも影響する。ファッションの国だから男も女もおしゃれに気を使っているという認識は以前からあったのだが、仕事にも重要な影響を与えると思い知らされたのは、あるイタリア人の同僚が退職したのがきっかけだ。

 その同僚とは、ある案件を手伝ってもらっていたこともあり、彼が辞める際には「退職する」と連絡を受けた。有能な人間で、周囲からは当然昇進していくと思われていた人物だったが、昇進したのは、専門知識では彼より劣る人物だった。我々の業界では、こういう場合、たいてい退社という結末を迎える。

地図

 しばらくしてミラノ出張があり、その男の元上司と別件で会った時に、辞めた男の話になった。元上司は辞めた部下についてこう評した。

 「彼は専門知識については抜きんでていた。だが、外見に対する注意が欠けていた。たかが外見だが、イタリアでは伝統的にそういう部分も含めて、人間が判断されるのだ」

国としての見た目と内実のギャップ

 内面優れていても、外見がみすぼらしければ評価されないというこの国の慣習は、イタリアをファッションの国に育てた原動力と言えるだろう。しかし、この慣習はある種の危険も伴う。外見が良ければ、中身のみすぼらしさを許してしまうことだ。

 イタリアの国としての見た目は、美味な食事、高級ファッションブランドや超高級車、そして豊かな歴史、風光明媚な観光資源と、華やかなものがある。しかし、内実は、そうしたイメージとは異なり、案外傷だらけのところもある。例えば、政権は全く安定していない。

 イタリアは4月半ばに総選挙が行われる。それは現在のプロディー政権が本年1月に上院で内閣信任投票否決を受け、事実上、機能不全状態に陥ったからだ。総選挙では、歌手出身のメディア王ベルルスコーニ元首相と、ベルトローニ前ローマ市長の2人が一騎打ちを繰り広げることになる。

 ただし、どちらが勝つにせよ、イタリアを覆う政治不信を払拭するのは容易ではなかろう。プロディー政権は規制緩和、政界再編、税制改革、年金改革、教育改革など、我々日本人にとっても馴染みのあるフレーズを使って、改革への意気込みを訴えてきたが、国民の支持を得られなかった。

 この国は、ある意味で、日本に似ている。利権を放さない老獪な政治家が幅を利かせており、官僚は規制で企業をガチガチに縛り、既得権益を守っている。実際、先進国の中で規制が最も多い国としても有名で、いわゆる「聖域」が非常に多い。また、北部の工業地域と南部の農業地域の地域格差が顕著な点も、南部がマフィアに牛耳られている点を除けば、日本の都市部と地方の格差に似ていると言えるかもしれない。

 恐らく(そして願わくは)日本と違うのは、真偽は別として、イタリアの場合、黒社会とつながる政治家が著しく多い点であろう。この点は、程度の差こそあれ、これまで紹介してきた一部の東欧の弱小国の状況を彷彿させる。念のために強調しておくが、この国は、G8メンバーであり、GDP(国内総生産)では、欧州でドイツ、英国、フランスに次いで4番目、世界では7番目の国である。

ユーロ導入に向けた大胆な「化粧直し」

 イタリアは、1999年のユーロ導入に向け、90年代半ば過ぎから、なりふり構わず奇策を打ち出し、即座に実行に移していった。90年代前半、イタリアの財政赤字はGDP比で10%を超えており、その後低減したとはいえ、96年時点でも7%の財政赤字を抱えていた。

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