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米、公的資金投入に地ならし?

抜本的解決に決断迫られるサブプライム問題

  • 吉本 元

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2008年4月11日(金)

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 昨年来、金融市場の混乱が収まっていない。ベアー・スターンズの経営危機などが発生し、FRB(米連邦準備理事会)は同社に対して緊急融資を実行したのをはじめ、市場に様々な流動性供給策の導入や断続的な追加利下げを断行し、「最後の貸し手」として押し寄せる混乱に立ち向かっている。

 しかし、FRBの対応も限界に近づきつつある。政策金利のフェデラル・ファンド(FF)レートの誘導目標水準は、既に物価上昇率で割り引いた実質金利で見るとゼロ近辺の「超緩和」の水準に達しており、利下げ余地が小さくなってきた。超緩和の金融政策は、昨今の原油や商品価格の上昇の中で、インフレ圧力を高めてしまうリスクもある。

 流動性供給策についても、既にかなり多くの手を打ってきた。

FRBの各種流動性供給手段の特徴

 サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)債権やその証券化商品、あるいは低格付け債券などの価格低下が激しいことを受けた措置である。こうした資産を所有する銀行や証券会社などの金融機関の財務内容が悪化しているという懸念が市場で広がっているうえ、金融機関が従来のようにこうした資産を担保に資金を借り入れることが困難になっている。

 そのためFRB自らが、サブプライム関連資産を担保として受け入れ、低コストで資金を貸し出している。また公定歩合を引き下げ、貸し出し期間を延ばすことで、新たにサブプライム関連資産を担保とする資金の供給策も設けた。これまでの施策は伝統的な金融政策の範囲と言える。

非伝統的手段は用いられるのか?

 市場が着目しているのは、こうした伝統的金融政策の次の段階として、FRBはサブプライム関連資産を高値で買い取る「非伝統的金融政策」を実施するかどうかだ。伝統的金融政策の範囲内では、金融資産は国債のみを買い取りの対象としているが、国債以外の金融資産を、かつて、日銀に対してデフレ脱却のためなら「トマトケチャップでも買うべき」と提言したとも言われるバーナンキFRB議長が、果たして決断できるかに注目が集まっている。

 こうした脱伝統的金融政策論に対して、米国経済はデフレというよりもむしろインフレ気味であり、デフレ脱却のための手段である非伝統的金融政策を持ち出すのは時期尚早という意見もある。また、中央銀行たるFRBの財務内容が悪化し、ドルや中央銀行の信任にダメージを与え、むしろ状況を悪化させるのではないかとの懸念も出ている。

 こうした懸念を鑑みると、今後もサブプライム関連資産の焦げ付き問題を基点にした金融市場の混乱が続く場合には、中央銀行たるFRBではなく、政府が資金を拠出して、「資産買い取りファンド」を設ける方が適切と言えるだろう。いわゆる「公的資金」の利用である。もちろん、金融機関の投資の失敗を税金で処理するため、モラルハザードを生むという意見が出てくるため、そうした処方箋の実施には反対も出てくる。

 公的資金の投入は、日本でも1990年代に問題になった金融機関の不良債権処理に最終的に導入されたが、実行にたどり着くまでには相当の紆余曲折を経ている。米国でも、80年代初頭から始まったS&L(米貯蓄貸付組合)危機の際に、最終的には、89年に「公的資金」を投じた。RTC(整理回収公社)を使ったS&L清算、再編スキームを始動させることになったが、経営者責任を厳しく問い、今後の金融機関の監督強化を行うのと引き換えだった。

3人の大統領候補者も解決策に言及

 公的資金導入のための地ならしというのはうがち過ぎた見方だろうが、ポールソン財務長官は3月31日に、FRBの権限を強化するなど、金融機関の監督体制を改善する計画を発表している。また、次期大統領の候補者たちも、景気対策の一環として金融システム安定化の対策に目を向け始めている。

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