著名投資家のジョージ・ソロス氏からFRB(米連邦準備理事会)のベン・バーナンキ議長まで。多くの人々が米経済の景気後退(リセッション)入りを確信している中、市場は再び「サプライズ」の準備をしているかもしれない。
経済指標、特にGDP(国内総生産)をよく見ると、不可避のように考えられている景気後退が、現実にならない可能性があるからだ。住宅危機で著しい停滞があったにもかかわらず、GDPは2四半期連続でマイナス成長を回避し、今のところ少なくとも形式上は、景気後退に突入していないと判断できる。
在庫投資は拡大、ドル安も追い風
2008年1〜3月期のGDPは年率換算で0.6%だった。識者の間では、成長率のかなりの部分が在庫投資拡大の結果だ、と指摘する悲観的な意見がある。確かに在庫投資を除くと、第1四半期のGDP成長率は年率0.2%まで縮小してしまう。
しかし、在庫投資の増は、製造業の多くの企業が生産能力を調整するのではなく、在庫の積み上げを選んだと言える。彼らは国内需要の回復が起こらなくても、ドル安の追い風を受けて輸出が国内需要の減少を補う、と見ているのだ。
確かに現在の為替水準が中期的に続けば、米国の輸出増加、米企業の海外事業収入の増加、海外からのドル建て資産の投資、がバランスよく起こるだろう。加えて国内需要も引き続き強く、米企業のバランスシートや業績は、数カ月前に発表された大方の予想よりも良い状況にある。バランスシート上の現金資産が過去最高に近い水準である。
一方で株価を見ると、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500種株価指数企業の平均PER(株価収益率)は14倍と、20年来の割安圏である。企業業績と株価を見ると、株式市場が今後、劇的に回復する下地は十分にある。株価が戻れば、住宅価格の下落が家計に与える影響の一部が軽減され、国内消費が維持される可能性がある。
「住宅危機は終わった」
住宅市場について言えば、価格下落は続いているものの、これまでの下落ペースがあまりに速かったため、この価格下落がどれくらい続くかを疑問視し始める見方も出ている。5月6日付のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の社説は、「住宅危機は終わった」と公然と宣言した。
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