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モナコ公国:
130カ国とつながる租税回避地

  • スティーブ・モリヤマ

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2008年5月29日(木)

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モナコの国旗

モナコの国旗

 バチカン市国に次いで世界で2番目に小さな国、モナコは美しい国である。筆者の私見では、モナコほど美しい港を持つ国は、欧州ではほかに見当たらない。港には、世界中の旗がなびく豪華クルーザーが数多く停泊しており、極めてハイソな雰囲気を醸し出している。

 地理的には南フランスの一部であり、ニースからほんの目と鼻の先だ。言葉もフランス語が使われ、特に入国管理局もなく、あっと言う間にフランスからこの国に入れてしまう。フランスとは関税同盟を結んでおり、通商的にフランスをはじめEU(欧州連合)諸国に大きく依存している。

 また、ユーロ圏には正式加盟していないが、通貨はユーロであり、コインにはモナコ独特のデザインを使うことが容認されている。2005年にはフランスとの新条約が締結され、外交・軍事面でのフランス依存度が若干緩和されたものの、引き続き、フランスとは特別な関係にある。

重税避難民の行方

モナコの地図

 この国の売りは、個人所得税ゼロである。所得税と社会保険料を合わせると額面給与に対する手取り額が半分程度になってしまう欧州諸国の金満家たちの中には、この国に移住する者も少なくない。フランス人もかつてはこの恩恵を受けていたが、フランス政府からの強い要請もあり、原則として、フランス市民には、税法を含めフランスの法律が適用される。

 もっとも、抜け道はあるようで、人口3万3000人のうち、半数近くがフランス人である。フランスでは累進課税制度を採用しており、最高税率は40%、さらに社会保険料の被用者負担は15~20%である。

 そうすると、高額の給与所得等を得ている人の手取りは半分以下になってしまう。おそらくモナコ在住のフランス人の多くは投資所得など、不労所得で生活している富裕層だと思われるが、とにかくフランス人は多い。

 フランス人以外の欧州人では、イタリア人やモナコ人などがおり、欧州系は全人口の8割を占める。しかし、残りの2割は130カ国からの重税避難民が占めるという。もちろん、モナコグランプリで有名なこの国には、高額の賞金を稼ぐF1(フォーミュラーワン)ドライバーにとっても、重税避難地となっている。ちなみに、モナコの市民権を持つ者はわずか8000人程度と言われているので、3割にも満たない。

 この小国には、40行もの銀行が集まり、重税避難民に金融サービスを提供している。預かり資産総額は600億ユーロとも、700億ユーロとも言われ、銀行口座数は、人口の10倍近くの30万を超えるという。

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