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「FRB議長ゲーム」は何を語る

2008年5月29日(木)

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 金融業界以外で働く多くのビジネスマンにとって、日銀、FRB(米連邦準備理事会)、ECB(欧州中央銀行)といった中央銀行が運営している金融政策(金利運営)と実体経済の関係はいま一つ理解しにくいのではないかと思われる。各国の金利動向は外国為替レートにも大きな影響を与えるため、ある程度のイメージはつかんでおく方がよいだろう。

 その理解を助けるちょうどよい教材がサンフランシスコ連邦準備銀行(FRBの12地区連銀の1つ)のウェブサイトにあった。「FRB議長ゲーム」である。

 FRB議長に就任したつもりで、経済動向を見ながら米国の代表的な短期金利であるFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を上下させるゲームだ。高校生程度を対象にしているようだが、大人も十分楽しめる。細部に凝ったゲームなので、金融市場のプロのディーラー、ファンドマネジャーも思わず「ニヤリ」としてしまうだろう。

 このゲームでは、「+」か「-」をクリックして、FF金利の水準を調整する。一般的には、経済が停滞している時は、失業率が高まり、インフレ率は下がる。そういった時は、「利下げ」を行う。逆の場合は、「利上げ」を行う。

 金利変更幅は0.25%刻み。下はゼロ%から上は19%まで設定できる。現実のFRBは政策金利の変更を検討するFOMC(米連邦公開市場委員会)を年8回開いている。ゲームでは政策変更のタイミングは3カ月に1度、つまり年4回だ。架空の新聞(「U.S. TIMES」「USA Tribune」など)が経済の状態を報じるので、それを見ながら金利を決めていく。FRBは2004年6月から2006年6月にかけて0.25%ずつの利上げを連続実施する戦略をとったが、このゲームではより大胆な幅で利上げを行う方が効果的である。

目的を達成できなければ罷免もあり

 任期の4年の間に失業率とインフレ率をうまくコントロールできれば、任期満了時に「再任」(Reappointed)が報じられる。しかし、失業率とインフレ率の片方、あるいは両方が酷い状態になってしまうと、任期満了時に「罷免」(Dismissed)されてしまう。

 実はこれは連邦準備法第2条A項が定めているFRBの政策目標を反映している。同法はFRBに対して「雇用の最大化、物価の安定、穏やかな長期金利」の実現を求めている。ただし、長期金利を低下させるためには先行きのインフレ予想の低下がなにより必要であるため、「雇用の最大化と物価の安定が、FRBの『2つの使命』だ」と広く認識されている。

 このゲームでは失業率は5%を大幅に上回らないように推移させる必要がある。また、インフレ率は2%をターゲットにするように求められる。バーナンキ議長率いる現実のFRBは昨年10月に組織として統一したインフレ目標を採用することを断念している。ただし、サンフランシスコ連銀のイエレン総裁は、FRB理事だった1996年にグリーンスパン議長(当時)に対して「望ましいインフレ率は2%だ」と主張していた。また、バーナンキ議長個人が考える「心地よいインフレ率のゾーン」は、コアPCE(エネルギーと食料を除いた個人消費支出価格指数)で1~2%である。

中期的な予測をベースに、目先の変化に機敏に反応

 このゲームで1回目から「再任」に至る人はまれだろう。ゲームの難易度を高めている最大の要因は、政策効果が現れるまでの「ラグ(時間のズレ)」がプログラミングされている点にある。参考までに、バーナンキFRB議長は2008年2月14日の講演で次のように述べていた。

 「金融政策はラグを伴って機能する。それゆえ、我々の政策スタンスは、実体経済の活動やインフレを中期的に予測するという観点から決定されなければならない」。利上げや利下げを行っても経済指標のトレンドはすぐには反転しない。フォワードルッキング(先読み)なスタンスで臨まないと、このゲームではいつも「罷免」されてしまう。

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「「FRB議長ゲーム」は何を語る」の著者

加藤 出

加藤 出(かとう・いずる)

東短リサーチ社長

1965年生まれ。88年4月東京短資入社。2013年より現職。国内外の短期金融市場の現場の視線から金融政策を分析している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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