• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

トリシェ発言の波紋、FRBとの協調利上げも

  • 本多 秀俊

バックナンバー

2008年6月11日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 6月5日、ディーリングルームが突如として色めき立ったかと思うと、目の前の画面に、「ECB総裁、来月の利上げの可能性を除外せず」との見出しが流れた。あっと言う間にユーロが全面高に振れるのと並行して、原油価格も上昇。このところ原油価格は、ドルと異様なほど密接な逆相関関係を示しており、この原油価格の急騰も、ドルの(対ユーロでの)急落を嫌気したドル安の裏返しと受け止めることができた。

 ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁が政策決定会合後の記者会見を開いているさなか、筆者は、会見の中継を観る代わりに、別の資料作りにいそしんでいた。総裁が、この日の会見で金利変更の予告めいた発言をするとは、考えていなかったからだ。

 この利上げ予告発言によって混乱する周囲を尻目に、筆者の気持ちは相変わらず冷めていた。そもそも、どこの国・地域であろうと、利上げあるいは利下げの可能性を、事前に100%予測できないのは当然のことだ。

 また今回、トリシェ総裁が利上げの時期を「来月」と限定したのは、総裁自身の自発的な発言とは思えず、「記者の質問に誘導されたに過ぎない」と勝手に断定してしまった。しかし、会見が行われた夕方、資料作りが一段落し、会見の模様をビデオで確認した筆者は、自分の軽率さを呪った。

利上げの可能性を意図的に植えつけたトリシェ総裁

 トリシェ総裁は、聞かれもしないのに、勝手に来月の話を持ち出し、「あくまでも可能性であって確実ではないが」と断りは入れたものの、はっきりと「次回(7月)の会合で(政策)金利を小幅変更する可能性を除外しない」と述べていたのだ。しかも、違う記者の質問に答える格好で、繰り返し2回も。

 これは、「誘導」された発言などではなく、ましてや「失言」の類でもない。まるで事前に何度も反芻したかのような慎重な言い回しからも、総裁発言の核心が、「来月」の「可能性」を「除外しない」との認識を、市場に植えつけることにあったのは明らかだ。

 一連の発言の意図するところが、総裁自身が何度も繰り返し強調していたように、「期待インフレ率」の抑制にあったのは、疑う余地もない。既にユーロ圏の物価は、燃料/食品価格の高騰を主因に、前年比3.6%増(5月速報値)にまで上昇、ECBの政策誘導目標である「2%未満近傍」を大きく踏み越えてしまっている。

 しかし、昨夏以降世界経済を震撼させたクレジット危機の余波で、利上げしたくとも、ECBは利上げ「できない」との思惑が浸透。ECBは、そうして高まった将来的なインフレ予想の制御に躍起になっていた。

バーナンキ発言とは対照的に原油価格はユーロ建てでも急騰

 こうした、期待インフレ率の抑制は、この3日、同様に追加利下げの可能性を打ち消したFRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長の意図したところとも共通する。しかし、両氏の発言の効果は対照的だ。

「Money Globe ― from London(本多 秀俊)」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

すきま時間を活用できることに気づいた消費者は、時間価値をかつてないほど意識している。

松岡 真宏 フロンティア・マネジメント代表