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労働市場が示す米インフレ懸念の深刻度

  • 吉本 元

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2008年6月13日(金)

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 現在、市場では、原油価格や商品価格の上昇を受けて、インフレリスクが注目されている。欧州では、ECB(欧州中央銀行)が、利上げの可能性を示唆し始めた。米国でも、景況の悪化や金融市場の混乱のリスクが高く、利下げが必要な中で、FRB(米連邦準備理事会)は、インフレとの板ばさみに遭っているのではないかという懸念が生じている。

 原油価格や商品価格の上昇は、コストプッシュ型のインフレ圧力と言われる。原材料の価格が上がると、それをもとに製品を製造する企業が、製品の価格を引き上げる。さらには、そうした製品の仕入値が上がるので、小売店も販売価格を引き上げるという経路をたどる。

生産者物価指数はドミノ式に上昇

 実際に統計で確認すると、生産者物価指数(PPI)は、原材料、中間財、完成品の各段階で、直接影響のあるエネルギー価格や食品価格を除いたコア価格で見ても、ドミノ式に上昇率が高まっている。さらには、消費者物価指数(CPI)の財価格(モノの値段)も、昨年の下落傾向から上昇に転じている。

図版1

 エネルギー価格や食品価格の上昇とともに、消費者サーベイのインフレ期待値は上昇している。ミシガン大学の調査では、1990年以降でも最も高い水準に上昇した。多くの消費者は経済の専門家ではないから、物価をエネルギーや食品を除いたコア価格で分けて考えないことが要因の1つと思われる。

 ある意味で情緒的なインフレ期待が高まった状態が続くと、企業は、消費者が物価上昇を許容すると見て、価格の引き上げを行うリスクがあるため、注意を要する。

図版2

 こうした現象を踏まえると、市場のインフレ懸念も根拠が無いとは言い難い。しかし、上記のようなインフレ圧力は、資源の供給の問題である。需要の変化によって発生するインフレへの影響が抜け落ちている。

労働市場が示すインフレ圧力の後退

 現在の米国経済は、2007年第4四半期、2008年第1四半期と2四半期続けて、潜在成長率の2%台後半を大きく下回っており、明らかに需要が減速している。GDP(国内総生産)ギャップが拡大しており、供給に対する需要不足から、デマンドプル型のインフレ圧力は後退している。その状況は、労働市場を通じて把握できる。

 2008年年初より雇用情勢が悪化しているのは周知の通りである。まず、労働生産性の推移を確認すると、昨年来、景気減速を反映した生産の落ち込み以上に、総労働時間(雇用者数×1人当たりの労働時間)が削減されているため、結果的に労働生産性は向上している。さらに、生産性の上昇に対して、賃金上昇が抑制されているため、単位当たり労働コストの上昇率が低下している。

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