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特別版 今、なぜ欧州なのか

  • スティーブ・モリヤマ

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2008年7月13日(日)

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 筆者は日経ビジネス オンライン3周年などを記念して開催した「ビジネスマネジメントフォーラム」で行われたセッション「ポスト米国一極集中時代の成長戦略」で、欧州の動向について講演した。

 その内容の抜粋を、本コラム「知られざる欧州の素顔」の特別編としてここに紹介する。

 ポーランド人歴史学者クシシトフ・ポミアンが、著書『ヨーロッパとは何か』(平凡社)において、民族・言語・宗教といった文化的寄木細工である欧州は、東部欧州なくして語ることができない点を喝破し、「ヨーロッパ」の再定義に果敢に挑戦したのは1990年のことである。

 それから20年近くたった今、「新しいヨーロッパ」は、おそらくポミアンの想像をはるかに上回るペースで、文化のみならず、政治的にも、経済的にも、拡大と進化を続けている。

 こうした変化は21世紀に入ってもとどまることを知らず、人類はこれまで経験したこともない「パラダイムシフト」(根本からの劇的転換)をいくつも体験していくだろう。

「古い欧州」から「新しい欧州」へ

 まず、本連載のテーマでもある欧州における「古い欧州」から「新しい欧州」へのパラダイムシフトだが、特に経済面でのシフトは顕著である。これまでの西欧諸国に代わって、東欧をはじめとする新規EU(欧州連合)加盟国や将来加盟可能性のあるロシアをはじめとする旧ソ連諸国では、凄まじい勢いで経済が成長している。

 実際、下記の表にあるように、既に「古い欧州」だけを見ても、欧州は、米国を上回る「世界最大の経済圏」と言える。だが、今後の成長を牽引していくのは、まぎれもなく「新しい欧州」の面々であろう。

GDP世界合計に占める割合(2007年)

 現時点でのEU加盟候補国は、旧ユーゴスラビアの2つの小国と加盟交渉休止中のトルコだ。これに加え歴史的に中欧に属したウクライナやベラルーシなどがEUに接近していくのは時間の問題だろう。そして、最終的に、ロシアやトルコがEU加盟を果たす時がくれば、「新しい欧州」は世界最大のスーパーパワーとして、不動の地位を確立することになる。

 現時点では、EUはロシアとガスパイプライン計画などでつば競り合いを続けている。だが、実際のところ欧州にとってロシアは、エネルギー供給源のみならず、巨大市場としても決して無視できない存在である。また、ロシアにとっても欧州は計り知れない相手である。輸出入を見ても、ロシアにとってEUは最大の貿易パートナーである。

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