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原油価格の高騰は、心の問題か

  • ロバート・シラー

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2008年7月23日(水)

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 グリーンランドの氷床が地球温暖化のために海に崩れ落ちる――。誰もがテレビで観たことのあるこの映像が、間接的かつ心理的に何らかの影響を及ぼして、原油高やその他の商品価格の高騰をもたらしている、ということがあり得るだろうか?

 現在の資源不足と商品高を説明する際に、原因として通常挙げられるのが、新興国、とりわけ中国とインドの爆発的成長と限りある資源へのその「飽くなき」需要である。しかし投機市場でも心理面が重要で、グリーンランドの氷が消滅するイメージのために、ほかのすべてのもの、土地や水、新鮮な空気すら不足してしまうかもしれないと思い込んでいるのではないか。

イメージが土地、水、空気への枯渇感も醸成

 ここで、商品価格の景気循環を見てみよう。1960年代から80年代に商品価格は一般に上昇基調にあり、その後90年代半ばまでに下がった。これを説明する際にも、説明に使われる内容と同じくらいイメージが重要になるだろう。

 一般的なファンダメンタル面からの説明は、政治的な出来事と関連づけるものだ。73~74年の石油危機は、第4次中東戦争による減産のために起こったとされているし、79~81年の石油危機はイラン革命とイラン・イラク戦争のための減産を反映したとされている。80年代半ば以降の石油価格の下落は、OPEC(石油輸出国機構)の石油カルテル崩壊が原因だと言われている。

 だが、政治的事件だけではすべての説明にならないと考える向きもある。確かにこれらの事象に反応して、石油価格は激しく変動した。しかし、石油価格の一般的な傾向に影響を及ぼすもっと重要な要因が、多分ほかにあるはずだ。それに、こうした事象は石油に続いてほかの商品価格まで、上昇することが多かった理由の説明にならない。

「アポロ」が招いた人々の恐怖感と70年代の原油高騰

 もしかすると、人々が資源の枯渇を恐れていたことの方が、70年代の戦争より重要なのかもしれない。当時は「人口爆発」に恐怖する時代だった。これによって世界中の人々の意識が変わり、この恐怖が続く間、商品価格が高騰することになったのだろう。

 この恐怖には相当の根拠があったようだ。51年に1.8%だった世界人口の増加率が、71年には2.1%に上昇している。だがこれは無味乾燥な統計に過ぎず、イメージの方がより重要な意味を持っていただろう。

 48年、天文学者のフレッド・ホイルは、「宇宙から見た地球の写真が手に入り、地球が全く孤立していることが明白になれば、今まで存在しなかった新しい考えが有力になるだろう」と予言した。

 数十年後、彼の正しさが証明された。67年11月、米国のアポロ計画の中で、人類は初めて宇宙から撮影した地球の写真を目にした。71年に月面着陸したアポロ乗組員ジェームズ・アーウィンは、地球を見た時のことをこう語っている。

 「地球はとても遠くにある…暗い宇宙空間に浮かぶ小さな球体だった。何かが魂に働きかけてきた…地球の姿を目にすると、我々は皆人道主義者に立ち返る…我々の住む惑星がいかに脆く、いかに美しいかを知った。我々は共に手を携え、愛し合えるようにならねばならないことが分かった」

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