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どう動く、財政出動決断後の金融政策

2008年8月7日(木)

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 7月31日に日本銀行が公開した10年前の金融政策決定会合議事録に今日的な意味で興味深い発言があった。1998年6月25日の会合で、速水優総裁(当時)が次のように述べていた。

 「サマーズ(当時財務副長官)も自分たちの経験からこうした不良資産の改善の過程では、フィスカル・ポリシー(財政政策)がジャスト・イン・タイムに出てくることが極めて必要と強調していた」

 サマーズのこの日本への忠告は、今の米国に、そのまま当てはまる。

突然死の恐れは後退したが、くずぶるマクロ経済への波及

 昨年8月9日に欧米の短期金融市場で、米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した大混乱が発生してから、丸1年が経とうとしている。この間、各国中央銀行は流動性が細った市場に対して様々な資金供給策を実施してきた。

 7月30日にもFRB(米連邦準備理事会)、ECB(欧州中央銀行)、スイス国民銀行は、追加流動性対策を発表している。それらの「救済策」により、欧米の大手金融機関が資金繰りで「突然死」する恐れは大幅に後退した。しかし、ドル、ユーロ、ポンドなどの銀行間の資金貸借市場においては、取引相手の財務状態に対する不信感から、ターム物取引に強いストレスが残っている。

 欧米の金融機関がこの1年の間に行った損失引き当てと資本調達の動きは、日本の不良債権処理のスピードに比べれば圧倒的に速かった。しかし、開示されている範囲の損失と比較して見ても、資本調達はまだまだ必要である。ここに来て、資本不足に陥った欧米の大手金融機関が、これまで彼らに対して資金を供給していたSWF(国富ファンド)など海外の投資家から、追加で資本を調達しにくくなってきたからだ。

 サブプライムで影響を受けた欧米の金融機関が資本増強を思うように行えないと、これらの金融機関は資産売却や貸し出し基準の厳格化が進み、信用収縮が広がる可能性が高い。既に、米国やユーロ圏では信用の伸びが鈍化しており、それは景気の悪化を招くリスクを孕んでいる。IMF(国際通貨基金)が7月28日発表のリポートで指摘しているように、現在は「マクロ経済と市場の相互作用の懸念が高まっている」フェーズだと言える。

住宅市場救済まで決断できるか

 民間の自助努力に限界が来たら、何らかの形で税金を投入せざるを得なくなる。米ビジネスウィークのチーフエコノミスト、マイケル・マンデル氏は7月28日号で次のように解説している。

 「大統領選挙の後までは何も起きない。共和党も民主党も納税者の巨額の金を使うことを最初に言い出したくはない。しかし、次の大統領の最初の公式の行動は、ファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の救済だけでなく、銀行から悪化したモーゲージ(抵当に入れられた住宅)を買い取り、住宅所有者を助けることになるだろう」

 1980年代に預金貯蓄金融機関を政府が救済した際、当初見込まれた損失の3分の2は市場の回復で補われ、納税者負担は結果的に膨らまずに済んだという。政府が税金を投入することで住宅市場の底を示すことができれば、流れを変える転機となるということだろう。

 一方で多くの中央銀行はインフレ率の上昇にも頭を悩ませられている。新興国の成長減速懸念からコモディティー価格は世界的に反転し始めているが、中央銀行がインフレ警戒を解除できる状態ではいまだない。

 中央銀行の今後の意思決定は、外国為替市場、債券市場、株式市場などに大きな影響を与えていく。政策金利変更の際には、政治サイドとの微妙な駆け引きも生じる。主要中央銀行の意思決定メカニズムをここで整理してみよう。

ECB、21人の投票と輪番制

 ECBの政策金利は政策理事会で決定されている。現在はトリシェ総裁を含む6人の役員会構成員と、15人のユーロ加盟国中央銀行総裁の計21人が議論して金利を決める。「形式上」は21人全員が1票の票を持っている。

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「どう動く、財政出動決断後の金融政策」の著者

加藤 出

加藤 出(かとう・いずる)

東短リサーチ社長

1965年生まれ。88年4月東京短資入社。2013年より現職。国内外の短期金融市場の現場の視線から金融政策を分析している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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