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為替市場でも見せたロシアの電光石火

  • 本多 秀俊

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2008年8月20日(水)

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 ロシア軍が8月初旬、グルジア国境を越えて同国南オセチア自治州に侵攻した事実は世界を震撼させた。親米政権との正面衝突は、背後に控える米や北大西洋条約機構(NATO)との全面対決に発展する恐れもあり、「ロシアも迂闊には動けない」との予断があったことが大きい。

 この突然の侵攻作戦の効果や影響については専門家に委ねるが、実はロシアの金融当局はオセチア侵攻と時期を同じくして、似たような電光石火の作戦を為替市場で展開していた。ルーブル投機の掃討。この作戦も西側諸国そして金融市場の常識や固定観念を打破するもので、短期間に得られる限りの成果を挙げた、と言える。

 そもそもこのルーブル投機とは何か。

 ロシア政府及び中央銀行は、インフレ抑制のツールとして、ルーブル高誘導による輸入物価抑制を積極的に活用してきた。金融市場の整備が遅れる同国では、先進国のような政策金利変更による物価調整が十分に機能しないのだ。そこでロシア中銀は、ルーブル高誘導のほか、政策金利、預金準備率、という3つのツールを複合的に活用することで物価調整に努めてきた。

裏目に出始めたルーブル高誘導策

 このルーブル高誘導は「実質実効レートでの調整」という形で最終的には行われるが、30を超える通貨に対し、貿易加重と物価格差を反映した実質実効レートを監視、誘導するのは容易でない。そこで、日々のオペレーションとしては2005年2月以降、米ドルとユーロの2通貨で構成する通貨バスケットに対するルーブルの名目水準を誘導の対象としてきた。現在のバスケット構成は、0.55ドル+0.45ユーロである。

 しかし、昨年の後半ぐらいから、このルーブル高誘導策が、物価抑制にとって裏目に出ているとの見方が広がっていた。原油価格高騰で強大な影響力を誇るようになったロシア中銀が、厳密に管理、誘導してきたルーブルは、断続的な小幅切り上げ以外、対バスケットで「下落することはない」との認識が共有され、投機目的でルーブルを買う動きが広範に広がってしまったのだ。

 ロシアへの投機資金流入は、国内の通貨供給量を爆発的に高め、巡り巡ってむしろ物価上昇の要因になってしまった。そうした背景もあり、今年3月の大統領選挙に前後して、ロシア中銀はルーブル切り上げを一時中断していた。しかし、足元物価が急騰する一方、ほかに打つ手がない不自由さから、6月以降、同中銀は小刻みなルーブル切り上げを余儀なくされていた(下図)。

バスケット/ルーブルの推移と取引バンド

 ロシア中銀は、表向き、これは「ルーブル切り上げ」ではなく、「ルーブル取引バンドの拡大」だ、との姿勢を貫き、対バスケットで上昇する分だけ、下落する可能性もあり得ることを、事あるごとに強調してきた。そう言いながら、しかし、バンドの上限も下限も明確に示さないでいた同中銀に対し、市場は、図に示したような取引バンド(上限/下限)を、実際の値動きから逆算することで想定していた。

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