「Money Globe ― from London(服部 哲郎)」

欧州株は底を打ったのか

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2008年8月27日(水)

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 昨年末から続落していた欧米の株式市場は今年7月中旬に底打ちし、下値を切り上げる形で上昇に転じたが、その後方向性の乏しい、不安定な推移が続いている。

グラフ:日米欧の主要株価指数

 底打ちの要因は
 (1)原油など1次産品価格の下落、
 (2)米国の住宅金融公社に対する政府の救済策導入、
 (3)2008年4〜6月期決算が、期待値の低かった事前予想を上回るケースが多く、特に米国ではアナリストが次の四半期の企業業績予想で上方修正の数が下方修正のそれを上回った――などであった。

 しかし、反発後の上昇トレンドは腰折れした。その主因は、米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)に関連した金融機関を巡る問題は、解決に程遠く、それが株式市場の浮揚力を奪っていることである。特に欧州では、金融市場の混乱に伴う評価損の問題に加えて、景気の急減速や住宅価格の下落に伴う銀行の貸し倒れ損失の増加リスクが、米国よりも遅れて台頭してきた点が懸念要因になっている。

 欧州株式市場は従来から米国株式市場との連動性が強く、米国要因に左右される度合いが強い。しかし、欧州サイドの懸念要因が顕在化していることから、欧州株式市場の見通しを検討するうえで、これらの欧州要因を精査する必要性が高まっている。

景気は低迷感を深めるが、金融緩和に踏み切れない中央銀行

 欧州経済は低迷感を深めている。2008年4〜6月期のユーロ圏の実質GDP(国内総生産)は、主要国のドイツ、フランス、イタリアが揃って前期比でマイナス成長に陥ったため、全体では前期比0.2%減となった。英国もプラス幅が同0.2%と減速している。その主因は、インフレの高まりに伴う内需の不振などと推測される。

 景気の急減速にもかかわらず、ユーロ圏のECB(欧州中央銀行)、英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は金融緩和に踏み切れない。その要因はインフレである。消費者物価は、7月にユーロ圏が前年同月比4.1%上昇、英国が同4.4%上昇と加速している。ECBは8月の定例理事会でインフレ警戒姿勢を維持したものの、景気の急減速を認識していることを示したことで、利上げの可能性はほぼ払拭された。

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著者プロフィール

服部 哲郎(はっとり・てつろう)
ノムラ・インターナショナル シニアストラテジスト

服部 哲郎 1960年東京都大田区生まれ。1983年早稲田大学政経学部卒業。造船会社、証券会社を経て2000年、野村證券入社。金融研究所投資調査部を経て、2002年から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

(写真 永川智子)


このコラムについて

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欧州のM&A(企業の合併・買収)ブームの状況や、ブームの後に来るものについて主に解説。次なる成長が期待される東欧の事情についてもふれていく。

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