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それでもあり得るECB年内利下げ

  • 本多 秀俊

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2008年9月3日(水)

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 ECB(欧州中央銀行)理事会のメンバーでもあるドイツ連銀のウェーバー総裁は先日、市場に蔓延するECBの利下げ観測を「早計に過ぎる」と言い切った。ここ数年、口を開けばタカ派的発言を繰り返してきた同総裁には、「物価の番人」として市場の絶大な信頼を集めてきた独連銀の遺伝子がしっかりと刻み込まれているのであろう。

 だが、時に教条主義的とも思えるウェーバー総裁の堅牢な姿勢は、狼少年が、「狼が来るぞ」と叫ぶ代わりに「利上げが来るぞ」と叫んでいるようなもので、一抹の不信感を抱かないではいられない。今一度、諸般の状況を鑑み、予断を持つことなく、ECBによる早期利下げの可能性を検証してみよう。

原油価格と消費者物価

 ウェーバー総裁の発言を受け、来年3月までに0.25%の利下げを6割方織り込んでいた市場は、それを4割前後にまで後退させた。だが筆者は、個人的に、年内の0.25%利下げの可能性ですら、いまだに5割以上あるものと見込んでいる。

 その最大の根拠は、取りも直さず、原油価格の下落にある。燃料価格自体は、ユーロ圏の消費者物価指数の構成比率において1割弱を占めるに過ぎないが、現実に原油価格と消費者物価とが緊密に連動しているさまは、下のグラフからも読み取ることはできる。

グラフ:原油価格動向(北海ブレント)とユーロ圏消費者物価

 もちろん、市場で決まる原油価格が、今後も低位安定を続ける保証はどこにもない。グルジア情勢の緊迫と「東西冷戦」構造の再燃=ロシアからの安定的なエネルギー供給に暗雲が立ち込める現状では、原油価格の先行きに対する楽観は、なおさら禁物だろう。

意思と予断の狭間で

 一方、原油価格と並んで足元物価の押し上げ要因となってきた食品価格は、チェコハンガリーロシアなど一部の新興国で、既にはっきりと下落基調を打ち出している。天候や収穫予想などから、食品価格の安定は、当面、高い確率で見込むことができると言えるだろう。

 ウェーバー総裁の執拗なタカ派発言の裏には、利下げを牽制することで賃金などの上昇を抑え、2次的な物価上昇(将来的な物価上昇が広く予想されることで、実際の物価を押し上げてしまう効果)を最小限にとどめたいとの意思をありありと読み取ることができる。

 市場の信頼を得る金融政策運営とは、そうした「意思」と、冷徹な「確率」とのバランスが取れた発言であり、そうした対話を通して、政策決定に至るまでの過程を広く市場に共有/浸透させることを言うのではないだろうか? そういう尺度で、原油価格動向の今後が、「確率」の世界の話であるのは間違いない。

 「確率」の問題である原油価格が、将来にわたって低位安定することを前提に金融政策を決定するのは、「予断」と言えるだろう。それでも、原油価格の低位安定がまるで有り得ないと断じているかのようなECBの一部タカ派からの発言は、反対の意味で「予断」を持っているようにも思える。

ベース効果による物価安定

 加えて、ここにもう1つ、高い確率で近い将来の物価安定を見込める重要な要因がある。筆者が「年内0.25%利下げの可能性は5割以上」と考える理由も、この要因に負うところが大きい。それは、前年比で算出される経済指標に共通する「ベース効果」と呼ばれるものだ。

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