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ノルウェー:
影の紛争仲介者と海運立国の遺伝子

  • スティーブ・モリヤマ

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2008年9月4日(木)

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ノルウェーの国旗

ノルウェーの国旗

 ノルウェーというと、一昔前は、バイキングの伝統で海運業と漁業の国として認知されていた。だが、現在では、そうした伝統産業は、むろん引き続き重要ではあるものの、GDP(国内総生産)に占める割合を見ると、ごくわずかにすぎない。

 代わって、産業別グラフで存在感を示しているのが、石油ガス関連である。1960年代末に北海で油田が発見され、70年代半ばからは石油・ガスの純輸出国となり、今ではGDPの25%を占める基幹産業に成長している。

 人口では世界に占める割合が0.1%にも満たないこの小国は、サウジアラビア、ロシアに次いで、世界第3位の原油輸出大国であり、産油国としても世界の十指に入っている。西欧における石油天然ガス の埋蔵量のうち、約半分がこの国の領土に眠っている。

ノルウェーの地図

総額40兆円、1500の日本企業に投資するファンド

 ノルウェー政府は、石油・天然ガスへの過度の依存や資源価格変動に伴う脆弱性を低減するため、石油・ガス事業からの収益を、1990年から「石油基金」として積み立てている。2005年、「政府年金基金・グローバル」と改称されたが、内容は年金基金というよりは、あくまで石油安定化基金である。

 こうした基金は、本稿でも触れたようにロシアカザフスタンでも採用しているが、ノルウェーがパイオニアである。この国富ファンドSWFは、投資残高は邦貨換算で40兆円を超えるという。これらのファンドは、国際金融市場などで社会的責任投資を投資方針の軸に据え、30カ国以上の企業に投資している。日本もその中に含まれ、一説では、1500社近くの日本企業株を保有しているとも言われている。

 このSWFの例に見られるように、政府の財政状況は極めて良好なこの国も、我が国同様、少子高齢化が大きな問題となっている。そうした中、昨年末、ノルウェーの蔵相が、2010年から年金受給年齢を62歳から67歳に引き上げるという方針を明らかにした。

 働く高齢者を増やし、労働力不足を補うのが狙いだという。政府には年金支払い能力が十分あるが、常に将来を見据えて、打ち手を考えていく、小国ならではの積極的な姿勢の表れであろう。

 また、環境問題にも真剣に取り組んでいる。ノルウェーでは、オフショア石油採掘や石油のパイプライン輸送にかかる収益には、通常28%の法人税率ではなく、特別付加税50%を足した税率78%が適用される。また、産油国ながら自国の電力は、水力発電など代替エネルギーでほぼ100%を賄っているという。独自の排出権取引制度も有する。

北極海に眠るエネルギー争奪戦

 環境保護には真剣に取り組んでいる国だが、一方で、地球温暖化がもたらした現象については、不幸中の幸いと捉えているのだろうか。温暖化で北極海の氷が溶けて、バレンツ海で新たなエネルギー開発ができるようになり、しかも新たな資源輸送航路が生まれたのである。

 バレンツ海とは、北極海の一部だが、原則として、誰の領土でもない。むろん、ロシアなど利害関係国は領有権を主張しているが、法的には完全なグレーゾーンである。

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