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米国は、なぜ雇用が軟調なのか

生産性向上であって、景気後退に因らず

  • マイケル・J・モラン

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2008年9月12日(金)

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 米国経済は、2008年第2四半期に年率換算で3.3%の成長を達成した。にもかかわらずほとんどの専門家は、今年後半に米国経済の成長は鈍化する、と見ている。中には、雇用者数の8カ月連続の減少、失業率の大幅な上昇といった状況から、既に著しい減速もしくはリセッション(景気後退期)入りした、との見方も表れている。

 確かに雇用統計は軟調傾向にあるが、これはリセッションの兆候、とは見られない。企業は人員削減を継続的に行っており、ここ最近の雇用者の削減数は過去と比べて大規模なものではない。今年度における月間の雇用者の減少数は、現時点では平均7万5000人となっている。通常、リセッションの時は1カ月に20万近くの人が職を失う。

 また、雇用統計以外の指標はそれほど悪化していない。最近の住宅関連指標は堅実に推移しており、住宅販売は安定している。8月の建設業の雇用者数は減少が穏やかになっており、住宅業界における雇用調整は終息しつつあると見られる。

製造業は強さ保ち、企業の生産性も向上

 ほかにも、景気循環に敏感とされる製造業関連の統計も、調子が悪いようには見えない。景気先行指数とされるISM(全米供給管理協会)製造業景気指数は、8月にはほとんど変化せず、景況感の分岐点である50ポイント付近を維持している。

 また、8月の製造業新規受注もまずまずの成長を見せており、上昇傾向が徐々に強まっている。もし既にリセッションに入っていたとするならば、製造業セクターはおそらくマイナス成長であったはずだ。しかし、勢いには欠けてはいるが、後退とまでには至っていない。

 第2四半期の生産性上昇率は年率4.3%と、直近5四半期の中では4回目となる堅調な伸びを示した。これは景気拡大が一定程度進んだ時に起こる生産性向上の停滞や、リセッション時の生産性の低下、という典型的な循環パターンとは異なる。

 この循環パターンは、2005年終わりから2007年初頭まで起こり、この間は生産性の前年比成長率がおよそ0%になっていた。しかし、2007年以降の生産性は再度向上し始めており、今でも経済活動の鈍化とは対照的に、堅調なまま推移している。つまり総需要と経済活動のペースは全く鈍化していないことから、大半の経済指標からは、リセッションの兆候を読み取れないのだ。

 ここ最近、雇用が軟調になっているのは、生産性向上によって、企業はこれまでより少ない人員で収益を伸ばすことが可能になったことが一因と言える。企業の人員削減は経済活動の停滞のみに由来しているのではなく、むしろ力強い生産性向上と経済活動の鈍化が同時に起きる、というまれな状況から生じていると見るべきだ。

軟調だが低下ではない、停滞だが拡大傾向

 仮に生産性が2006年から現在まで軟調なままだったとすると、現在の雇用減少は、より穏やかなものになっているのではないか。今後、雇用者数は他の様々な統計と同様に「軟調だが、低下ではない」という傾向を示すだろう。

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