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投資銀行、頭脳集団の蹉跌

2008年9月17日(水)

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 リーマン・ブラザーズの破綻、メリル・リンチの身売り。その前にはこれら2社と比べると小粒ながら、伝統あるベアー・スターンズの破綻――。

 英国の金融街シティーとともに、過去1世紀の間「世界の金融首都」として機能してきたウォール街。そのビジネスモデルは破綻したのだろうか。少なくとも、投資銀行がリスクを取りすぎたばかりか、自らそのリスクを把握することもできなくなっていたのは事実だ。

 投資銀行はウォール街の“主”である。法的には証券会社であるが、基本的に個人相手に株式売買を取り次ぐことはない。大企業や外国政府、機関投資家、富裕個人を相手に大口取引を手がけ、日本の証券会社とは比較にならないほどの影響力を誇ってきた。ポールソン財務長官も「最強の投資銀行」ゴールドマン出身だ。

 日本では「証券マン」よりも「銀行マン」が格上に見られがちだが、米国ではかねて「証券マン」が「銀行マン」よりも格上である。図体が大きくて、動きが鈍い事務屋集団が「銀行マン」の商業銀行であるのに対し、規模は小さいながらも大きなリスクを取る頭脳集団が「証券マン」の投資銀行だ。

「平均IQが170に上る集団が全財産を失おうとしている」

 リスクが大きければリターンも大きい。しかし、大きなリターンを確実に手に入れるためにはリスクをきちんと管理しなければならず、リスクをきちんと管理するためには優秀な頭脳を使わなければならない。

 1990年代以降、投資銀行は数万人規模で最優秀のMBA(経営学修士)を採用してきた。このほか、複雑なデリバティブ(金融派生商品)の開発などを狙いに、物理学博士号を持つ「ロケット科学者」ら理系の人材も大量に吸収してきた。ウォール街がこのような人材を集められるのは、製造業の世界では想像できないほどの破格の報酬を払っているからだ。

 言うまでもないが、優秀な頭脳を集めたところでリスク管理が完璧になるわけではない。それを証明したのが、ちょうど10年前の1998年に起きたLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻だった。

 LTCMは、1980年代に「ウォール街の王者」と呼ばれた投資銀行ソロモン・ブラザーズの出身者が立ち上げたヘッジファンドだ。デリバティブ取引に欠かせない「オプション理論」でノーベル経済学賞を受賞したマイロン・ショールズ教授をはじめ、文字通り最高の頭脳を結集して発足しながら、リスクを読み切れなかった。

 当時、著名投資家のウォーレン・バフェット氏は「平均IQ(知能指数)が170にも上る人たちがたくさん集まりながら、全財産を失おうとしている。なんてバカげたことだろう」などと語っていた。同氏にリーマンの破綻のことを尋ねたら、同じコメントが返ってくるかもしれない。

ルーツは1935年に遡る

 米国で投資銀行が1つの業態として誕生したきっかけは大恐慌である。庶民から預かった預金を株式市場へ回してリスクにさらしたことから、金融機関に対する批判が渦巻き、商業銀行と投資銀行を分離する「グラス・スティーガル法」が1935年に成立した。

 これによって、例えば有力財閥のモルガン商会は商業銀行のJPモルガンとして生き残り、証券部門を分離せざるを得なくなった。この証券部門が現在のモルガン・スタンレーである。

コメント1件コメント/レビュー

ご高察、興味深く読ませていただきました。しかしながら、今回、同様のテーマで述べられた可児滋氏、御立尚資氏 の論と同様に、 本質的な変化の予兆としては捉えられていない様に見受けます。投資銀行業務の必要性をリスク・マネーの提供に絞った論ですが、他の構成要素について如何でしょうか? 英国HSBC会長スティーブン・グリーン氏の見解(宣言?)のような洞察力が欠けてませんか? 小生は現行の投資銀行のもうひとつの要素、レバレッジモデルのについて、次の様に見ます。それは、この「富が富を生む構造」、つまり時間的経過によって生まれる富に上限を設けて行かなければ、自由主義経済社会が壊れて行くと考えるものです。従来は、ハイリターンにはハイリスクが組み合わされてバランスが取られて来ました。ところが、リスクヘッジ手法進歩により、見かけ上のリスクが低減され、リスクが広く薄く負担される様になり、その結果、富裕層では、10%+α/年 のリターンは当たり前になりました。で、それを下回るものは損失(正しくは機会の損失)と道義に捉えられる様になっています。この対応策として、リターン分を先取りし、それを上回るか下回るかの不確定性を商品に変換し、ブレークダウンして広く薄くへの分配を繰り返し大衆に負担させて行くと。今回は、広く薄くのリスクをかき集め過ぎた投資銀行が破綻した訳ですが、そうでなければ、この10%を越すリターンの確保に向け、力の有る者(リターンを先取りできる者)が力の無い者(3%/年未満のリターンしか期待できない者、或いは尻拭いの納税者)にしわ寄せを行い続ける事となり、最後には「市場」を収縮させる方向に動いて行く事になるでしょう。(2008/09/18)

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ご高察、興味深く読ませていただきました。しかしながら、今回、同様のテーマで述べられた可児滋氏、御立尚資氏 の論と同様に、 本質的な変化の予兆としては捉えられていない様に見受けます。投資銀行業務の必要性をリスク・マネーの提供に絞った論ですが、他の構成要素について如何でしょうか? 英国HSBC会長スティーブン・グリーン氏の見解(宣言?)のような洞察力が欠けてませんか? 小生は現行の投資銀行のもうひとつの要素、レバレッジモデルのについて、次の様に見ます。それは、この「富が富を生む構造」、つまり時間的経過によって生まれる富に上限を設けて行かなければ、自由主義経済社会が壊れて行くと考えるものです。従来は、ハイリターンにはハイリスクが組み合わされてバランスが取られて来ました。ところが、リスクヘッジ手法進歩により、見かけ上のリスクが低減され、リスクが広く薄く負担される様になり、その結果、富裕層では、10%+α/年 のリターンは当たり前になりました。で、それを下回るものは損失(正しくは機会の損失)と道義に捉えられる様になっています。この対応策として、リターン分を先取りし、それを上回るか下回るかの不確定性を商品に変換し、ブレークダウンして広く薄くへの分配を繰り返し大衆に負担させて行くと。今回は、広く薄くのリスクをかき集め過ぎた投資銀行が破綻した訳ですが、そうでなければ、この10%を越すリターンの確保に向け、力の有る者(リターンを先取りできる者)が力の無い者(3%/年未満のリターンしか期待できない者、或いは尻拭いの納税者)にしわ寄せを行い続ける事となり、最後には「市場」を収縮させる方向に動いて行く事になるでしょう。(2008/09/18)

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