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2ケタの輸出鈍化に直面する珠江デルタ

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2008年10月21日(火)

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アレクサンドラ・ハーニー
日本語、中国語が堪能な香港在住の米国人ノンフィクション作家。98年に英FT(フィナンシャル・タイムズ)入社。FT退社後、香港に拠点を移し、2年ほどかけて中国本土で工場経営の実態を調査する。その成果は『THE CHINA PRICE』(The Penguin Press)としてまとめ、今春から世界各国で発表され始めた。邦訳版は日経BP社から発刊予定。(写真:菅野 勝男)

 中国南部、広東省の東莞(ドングアン)市は、かつて著しい発展を遂げた工業都市だ。数年前、ドイツ人実業家のフランク・イエーガーが、この東莞市への進出を決意した時、地元政府は熱烈に歓迎してくれた。

 工場を建ててくれたばかりか、工場の隣に家まで用意してくれた。しかも男女別の洗面所やジャグジー付きで、1枚ガラスの大きな窓からは芝生を敷き詰めた庭が一望できる。

 イエーガーが経営する工場の受注価格は、欧州の競合企業よりはるかに安価だったが、それでも相当の利幅を確保していたため、原材料コストが上昇しても数年間は価格を据え置くことができた。

 しかし昨年、作業主任の1人が退職し、法定超過勤務手当の支給を怠ったとしてイエーガーの工場を訴えたのに続き、ほかの4人の作業主任も同様の訴訟を起こした。その結果、25万元(約379万円)の超過勤務手当を支払わねばならなくなった。

 イエーガーは今年、受注価格を50%引き上げたが、これにより顧客の3分の1を失うかもしれないと覚悟している。

輸出量は20%、輸出高は30%減少

 前回の記事で触れたように、かつては世界が太刀打ちできない「チャイナプライス」で繁栄を誇った広東省も、今では危機に直面している。原材料価格の高騰、人件費の上昇、税制の強化、海外需要の減少といった様々な要因が積み重なり、広東省では今年中に1万件以上の製造業者が倒産や廃業に追い込まれる事態も予想されている。

中国の靴工場

中国の靴工場
(AP Photo/EUGENE HOSHIKO、写真はイメージで本文とは関係ありません)

 英国の産業革命時代のように、広東省は同一産業ごとに工場を集積する工業団地を形成し、競争力の強化を図ってきた。イエーガーの工場もある東莞市は「世界の靴の中心地」と言われるほど、靴の供給元として世界的に重要な拠点である。また、佛山市順徳区は「家電の都」として知られる。隣接する広州市には、トヨタ自動車7203とホンダ7267の工場もある。

 広東省・珠江デルタ地区では2008年1~5月期の靴類輸出量が、前年同期比で25.7%減少、また今年上半期のアパレル関係製品の輸出高も前年同期比31.3%減少した。コスト高に耐えかね、中国内陸部やベトナムへ工場を移転させる業者が現れていることなどが、輸出の減少の一因と見られる。

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