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アイスランド その2:
金融危機に凍りつく国

  • スティーブ・モリヤマ

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2008年10月16日(木)

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 オランダ人の同僚が私の部屋にコーヒーを飲みながら入ってきて、「これからアイスランド出張だ。向こうの政府に外資誘致策の話をしてくる」と言う。

 「プレゼン終わったらブルーラグーン温泉に入るんだろ。羨ましいよ」

 筆者がそんな軽口をたたいたのは、ほんの数週間前のこと。その直後に、主要銀行が次々と経営危機に陥り、政府に救済されるニュースが立て続けに耳に入ってきた。

 2月に本稿でアイスランドを取り上げた時、環境対策などこの国の優れた面を指摘したうえで、「キャリートレーダーやヘッジファンドなどの投機筋が消え始めた時点で、少なくともここ数年のこの国には不釣合いな成長は終わった」、という点をお伝えした。

 だが、正直なところ、これほど危機的な状況にこれほど早く陥るとは考えてはいなかった。アイスランド政府は様々な打ち手を効果的に出してきたのだが、懸待一致(攻める中にも守りの心を持つ)が欠けていたのだろうか。少なくとも、金融機関の監督が甘かった点は否めないだろう。

崩壊する金融立国伝説

 前回執筆時点では、アイスランドの政策金利は13.75%だったが、その後、アイスランド政府は、インフレおよび通貨安定化策の一環として、政策金利を上げ15.5%とした。今月8日、世界的な金融危機回避のため、欧米の中央銀行が政策金利を同時に引き下げるという異例の発表を行ったが、本稿執筆時点では、アイスランドの金利は15.5%のまま据え置かれている。

 高金利だけではない。前回、この国が“究極のキャッシュレス社会”だとお伝えしたが、アイスランドの銀行はインターネットバンキングという手段を用いて、欧州各国で積極的に預金集めをした。“アイスセーブ”などという耳に心地よい名称をつけている銀行もあった。

 ここのところ、アイスランドクローナは対ユーロで弱くなっていたが、グリトニル銀行に続き、ランズバンキ銀行が公的管理下に置かれると、通貨は急落した。そして、発表されたばかりのユーロとの通貨ペッグ制の導入もすぐに白紙撤回した。

 さらに、今月9日には最大手のハプシング銀行が国有化され、3大銀行がすべて公的管理下に置かれると、ペッグ制導入案で想定していた1ユーロ = 131アイスランドクローナとは、著しく乖離した1ユーロ=300クローナ以上で取引が行われ、同日、クローナの為替取引は中止された。さらに、証券取引所も株式取引も一時停止となったという。

 アイスランドの銀行は、この国のGDP(国内総生産)の6倍にも上る巨額の借り入れを行い、世界中で企業を買収等の投資を行っていたが、親ガメの米国がこけると、子ガメはひとたまりもなく、こけてしまった。そして、高金利という人参に群がった世界中の債権者や預金者の怒りに困り果てた欧州各国当局は、まずは預金者保護の動きに出て、預金保護法を通した。

 ただ、英国の預金者の怒りは凄まじく、ブラウン首相も強攻策に出た。実は、アイスランドの銀行に眠ったまま凍結された預金の中に、100を超える英国の地方自治体等から集めた10億ポンドにも上るカネがあった。

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