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アングロサクソンのモデルに賞味期限は来たか?

  • 倉都 康行,山中 浩之

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2008年10月16日(木)

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 『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』を今年7月に上梓した倉都康行さん。改めてご注目頂きたいが、7月である。便乗本ではなくて「予言」の本だ。

 倉都さんは1979年に東京銀行に入社、いわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人だ。同行からバンカース・トラスト、そしてチェース・マンハッタンへ転じ、2001年に独立、RPテックを設立し現在に至る。理屈ではなく、現場を見てきた人だから事態を正確に予測できたのだろうか。

 この稿の構成を行った編集山中(以下Y)は、経済系サイトの編集をしていながら、実のところ経済については半可通。偶然、倉都さんの知遇を得、弊社から書籍を出して頂いたのは天の恵みとずうずうしく押しかけてあれこれお話を聞いていた。今回の金融危機を予言していた倉都さんに、この聞き手ではもったいないにも程がある、のだが、素人目線のインタビューも、プロの書き手が集う中では別の価値があるかと思い、あえて掲載させて頂く。

 筆者の力量不足を前提に、倉都さんにも「焼鳥屋さんのカウンターで、雑談気分での“物言い”」をお願いした。言葉の選び方に不備があれば、それはすべてこんな企画をお願いした筆者の責任である。隣の席に偶然お座りになった気分で、肩の力を抜いてお読み頂ければ幸いだ。

(日経ビジネスオンライン編集 山中 浩之)

編集・山中(以下Y) 実はリーマンが破綻した週末、さっそく倉都さんにご連絡したのですが、秘書の方から「海外にいて帰国は一週間後」と言われまして。あれは何かこの事態と関係が?

倉都 ……いや、それがまったくの家族旅行でイタリアに行っていまして。月並みに、ローマとフィレンツェとミラノと、2日ずつぐらい。

Y 奥様と?

倉都 家族4人で。

Y そりゃいいですね。

倉都 うちのぼうずどもも大学生なので、家族一緒に行けるのも最後だろうなと思って。子供たちはACミランのファンなので、ミラノに行くんだったら行くと(笑)。着いた瞬間にミランのスタジアムに行って、「もう僕は満足だ」とか言って。

 ところが、やれやれと思って地元の新聞を見ると、何か大変なことが起きている。でもイタリア語が分からない(笑)。すみません、こんなばか話でいいんですか。

Y どうぞどうぞ。

倉都 子供が一緒だったから贅沢する必要はないと、かなりぼろっちいホテルに泊まったんですよ。そうしたらテレビも英語での放送が映らないんですよ。ケーブルやCNNが入らない。仕方ないからイタリア語の放送を一生懸命見るんですけど、まあ分かるわけがない。「リーマン・ブラザーズ」とか、「メリルリンチ」とか、それだけは聞こえるんですよ。あとは何が起こっているか、さっぱり分からなくて、これはいったい何ごとだろうと。英語の新聞すらないホテルなんですよ、全部イタリア語の新聞。

 しょうがないので駅まで行ってFT(フィナンシャルタイムズ)とかウォールストリート・ジャーナルを買ってきて、おお、これは大変だ、と(笑)。金融関係者として、激動の一週間を島流し状態で過ごしてしまったのは、恥というか何なのか。

Y いや、逆に面白い体験でしたよね。例えばイタリアの人たちって、この「世界的な金融恐慌」をどう受けとめている様子でしたか。

倉都 まったく「関係ない」という雰囲気でしたね。世の中でこんなに大変なことが起こっているというのに、みんな普通の生活をしていて、そんなことはどうでもいい、と。この分断というのは、同じ世界とは思えないくらいでした。

 もっと言いますと、イタリアではむしろアリタリア(航空会社、イタリアのフラッグキャリア)が大変だというのがずっとトップニュースで。

Y そうなんですか。

倉都 イタリアのテレビも、ウォールストリートの話は5分ぐらいやるんですけど、アリタリアの破たんの話を1時間ぐらいやっているわけですよ。国が違うとここまで違うものかなというか、ちょっと面白かったです。

Y イタリアって今回の余波は、そんなに受けないんですかね。

倉都 ゼロでは無論ありえませんが、少ないですね。イタリアの国内銀行はごく一部を除いて国際化せずにドメスティックでやってますから。

Y 帰国していかがでした。私、「うわ、これ倉都さんが近著で書いたことが本当になったじゃないか」と思って一人で興奮していたのですが。

倉都 ちょっとみんなに言われました。

Y 言われますでしょう。

倉都 何か途端に人気者になりましたよ(笑)。とにかくテレビとか、週刊誌とか、そういう人たちが時差ボケの中でわーっと来るものですからくたびれちゃって。

Y 倉都さんのこの本を読んでいたおかげで、あ、本当になっちゃったという部分では驚きでしたけれど、何でこんなことになったんだろうという驚きは、おそらくほかの人に比べたら口幅ったいですけど、そんなになかったんですね。

 さらに言うと、やはり弊社の書籍で恐縮ですが、こちらの『市場リスク 暴落は必然か』(リチャード・ブックステーバー著)。投資銀行で金融商品開発を行ってきたロケットサイエンティストのインサイドストーリー、これのおかげで、「今回の騒動は、具体的にはこういう人たちがこう動いたから起きたのね」というのが、理屈ではなくて感覚としてかなりつかめたと思います。

倉都 ああ、そうですね、これはいい本ですよ。解説を書けと言われて必死に読みました。

Y 自社の本なので厳しく見ちゃいますと、もう一息磨きこんで噛み砕いてくれると、すごく読みやすくなるのにというところが、ありますよね。

倉都 ええ、確かにちょっと金融業界以外の方が読むと、引っ掛かりそうなところはありましたね。でもおっしゃるように、現状に至る歴史的な背景や、業界の人がこういう考え方と感情に動かされているんだ、という部分を理解するのにいい本ですよ。

Y というわけで、倉都さんおよび、倉都さんが解説を書いた本を読んじゃうと、だいたい状況は分かっちゃうから……

倉都 「ああ、こんなものかな」と。

Y いや、元の勉強が足りないのでえらそうなことは決して言えないのですけど、危機勃発からかなり時間も経ちましたし、原因と経緯はどうやら報道が追いついてきたかな、という段階にはなりましたよね。

 そこで個人的には、根本的な疑問にまた立ち返っちゃうんです。これで本当に「金融資本主義」、ひいてはそれを生んだ「アングロサクソン主導型金融」への反省と何らかの変革が本当に起こるのか、起こったとしたら「次」は何が出てくるのかな、と。初めてお会いしたときに、倉都さんが話されたことですよ。

倉都 そんなお話もしましたか。

Y そこで、ご迷惑を承知で、金融資本主義崩壊の予言が実現したタイミングでお聞きしてみたいわけです。じっくりお考えになりたい話題でしょうが、あえて「無責任」に、その分お思いになっていることを率直に伺えればと。

倉都 無責任になると私、とことん無責任ですよ。仮にも日経ビジネスオンラインで、いいんでしょうか。

Y ぜひ雑談ベースで、よろしくお願いいたします。そういうスタンスでないとお聞きできない話もあると思いますし。

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