• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

他人の資産に勝手に保険をかけた綻び

「金融版大量破壊兵器」を拡大させた米国

2008年10月20日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 デリバティブ(金融派生商品)は、金融版大量破壊兵器であり、今は表に出ないで隠されているが、潜在的に致命的な脅威である――。

 米著名投資家のウォーレン・バフェット氏がこんな表現を使ってデリバティブ市場の急拡大に警鐘を鳴らしたのは、今から5年以上前の2003年3月上旬である。イラク戦争が勃発する直前であったことから、イラクが隠し持っているとされた大量破壊兵器を比喩として使った。

 米国発の金融危機は、バフェット氏の懸念が的中して「金融版大量破壊兵器」が使用された結果でもある。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)が急拡大したのも、巨大金融機関の救済が不可避になったのも、デリバティブを抜きには語れない。

“大量破壊兵器”を持っていたから救われた?

 例えば、破綻の危機に直面した米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)。金融当局は投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を黙認する一方で、AIGの救済に踏み切った。「なぜ」との疑問が当然のように広がったが、デリバティブの急成長分野クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に原因があった。

 AIGは業務多角化の一環として、一種の保険契約であるCDSを大規模に展開。契約残高はAIGだけで4500億ドル(45兆円)に上っていた。そのため、当局は「AIGが破綻すると、CDSを通じて無数に広がる取引相手に影響が及び、金融恐慌につながりかねない」と判断したのだ。

 CDSは、債務者の破綻など信用リスクを売買するデリバティブ取引のことだ。CDS市場では、ローンや社債の保有者である債権者が、利払い停止や元本回収不能などデフォルト(債務不履行)のリスクを回避するために、そのリスクを投資家へ転嫁する。保険契約を結ぶのと同じことだ。

 AIGはCDS市場では「保険の売り手」として目立った存在だった。

 「保険の買い手」である取引相手は、サブプライムローンを積極的に拡大してきた銀行になるはずだが、厳密には違う。銀行の多くはサブプライムローンをひとまとめにしたうえで証券化し、それを投資家へ転売することでリスクを回避していた。

リスクを転嫁できるのならば何も怖くない

 証券化されたサブプライムローンを購入した投資家は、債権者としてどうやってリスクを管理していたのか。CDSである。CDSという保険を買うことで、リスクをAIGなどの第三者へ転嫁していたのだ。第三者は「保険の売り手」としてリスクを引き受け、デフォルトの際には元本を補填しなければならない。

 リスクを転嫁できるのならば何も怖くない――。

 このような発想が広がったのを背景に、サブプライムローンのように銀行は信用力に劣る借り手にも積極的に融資し、住宅バブルを助長した。本来ならばリスクを回避する手段であるはずのデリバティブが、逆にリスクを助長する結果を招いてしまった。

 なぜなのか。様々な理由があるが、「他人の資産に保険をかける」行為が問題の根っこにあるようだ。

コメント5

「牧野洋の「世界の常識・日本の非常識」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

環境の変化にきちんと対応して、本来提供すべき信頼されるサービスを持続できる環境を作り出さなければならない。

ヤマトホールディングス社長 山内 雅喜氏