• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

状況は「波高シ。サレド天気晴朗」

  • 倉都 康行,山中 浩之

バックナンバー

2008年10月17日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

【前回と同様のまえがき】

 前回から引き続いて、『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』を上梓した倉都康行さんにお話を伺う。この本が出たのは7月、というところにご注目いただきたい。

 倉都さんは1979年に東京銀行に入社、いわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人だ。同行からバンカース・トラスト、そしてチェース・マンハッタンへ転じ、2001年に独立、RPテックを設立し現在に至る。

 改めて書くのも気が引けるが、この稿の構成を行った筆者は経済については全くの半可通。偶然、倉都さんの知遇を得、弊社から書籍を出して頂いたのは天の恵みとずうずうしく押しかけている。

 倉都さんに対して私が聞き手では、猫に小判もいいところだが、経済のプロでは聞けないことを聞けるかもしれない、と思い、あえて連載にさせていただいた次第。倉都さんにもあえて「焼鳥屋さんのカウンターで、雑談気分での“物言い”」をお願いした。言葉の選び方に不備があれば、それはすべて筆者の力量不足によるものだ。

 言い訳はこのくらいにしよう。前回同様、隣の席に偶然座った気分で、肩の力を抜いてお読み下さい。意外な発見がある、かもしれません。

(日経ビジネスオンライン編集 山中 浩之)

編集・山中(以下Y) 今気になるのは、アメリカの人たちがこの状況をどう感じているかですね。これはやっぱりやばかったと心底思っているのでしょうか、それともあっさり忘れてしまうのか。こんな話こそ、感覚的にしか言えない問題だと思うのですが、いかがでしょう。

倉都 分からないですよ。ただ今回の法案審議の過程で、金融救済に対してあれだけ激しい嫌悪が噴き出したことはね。

Y 金融の経営者はグリード(強欲)だという批判ですね。

倉都 あそこまでもめると思わなかったですね。何だかんだ条件は付けるだろうけど、そうは言っても法案は通すよなと思っていたら、大反発が待っていた。いや、そこまで大変なのかと。いかに金融に対する嫌悪感がきついのか。

 批判とか、非難じゃないですよ。もはや生理的嫌悪感ですよ、これは。成功者をポジティブに捉える米国では今までなかなか言えなかったことだけど、そういうものがぼーんと噴きだしてきた。ということは、金融の連中は昔みたいには戻れない。もちろん金融という機能は残るんですけれども、金融収益にGDPの3割、4割を依存するような、ああいう経済構造というのはまず、当面、復活はしない。少なく見ても5年、10年は復活しないでしょう。

Y そもそも資金の貸し手が出てこないでしょうね。

倉都 そういうことです。

Y しかし、米国は金融系に産業をシフトすることで、実業をどんどんつぶして国外に追い出してきました。金融がNGなら、どうすればいいんだという話になりますよね。

倉都 おっしゃる通りです、没落です。もう農業をやるしかないんじゃないですか。一応、農業国ですから。

Y そうなりますか。

倉都 まあ、半分冗談ですけれども、本当にアメリカは次が何、というのがないと思うんですよね、今。

Y 先が見えないですよね。

倉都 次にどういう産業をコアにするのというと、ないですよ。これはアメリカの悩みでもありますけれども、世界経済の悩みでもあるでしょうね。

Y しかし米国にその手のパワー自体がなくなってくると、もちろん軍事にもそれが反映されて。

倉都 もろ影響しますよ。

Y 米国はおそらく引きこもりに入りますね。

倉都 間違いないんじゃないですか。

Y 変な話、ロシアのグルジアなどでの強気な姿勢なんて、その辺まで読んでいたのかな、みたいな気もしなくもないですよね。

倉都 何か足元を見ているって感じのね。

Y 大統領選のどたばたの足元だろうと思っていたら、もうちょっと深かったりして。

倉都 ロシアがここまでの深読みをしていたかどうかといいますと、今、自分のところの経済に火が付いていますから、そこまでは読んでなかったと思うんですけれども、でもトレンドとして「もうアメリカはそんなに反撃してこない」という読みはたぶん、ロシア側にはあったと思います。アメリカの凋落というのは、相場観としてははっきり見えるんじゃないですかね。

Y 翻って日本を見ると、意外に対米依存度が…もちろん高いんですけれど、思っているほどではないという話もありますよね(注:今年7月の貿易輸出相手国第1位が、米国から中国に替わったと話題になった。対米輸出の比率は2006年で22%、1985年は37%)。

倉都 対米貿易で成長してきたときに第一線で仕事をしてきた世代は「とにかく米国が」と思いこみがちですが、数字自体は案外高くないですよ。もちろん、いま最大の相手国の中国は米国とリンクしていますし、大変は大変だと思うんですけれども、日本の国がひっくり返るような、そんな深刻さじゃないと思いますよ。

Y 日本は国内市場もでかい。焼鳥屋気分で言いますが、引きずられて沈むかというと、たぶんそうでもない。

倉都 沈まないと思いますよ。

Y どんなところにも希望は、見ようと思えば見いだせる、そんな頼りないと言えば頼りない話かもしれませんけれどね、考えようによってはですよ、ざっくり10年前くらいから、米国が吹かせてくるグローバリゼーションの風に押されて、行き止まりの湾の中に押し込まれて、どうにも出られなかったのが、いまは、まだ波は荒れているんだけど「あれ、外海に出られるんじゃない?」みたいなとらえ方もできるんじゃないかと。

コメント16

「焼鳥屋で語る金融恐慌」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トップの身の丈が組織の限界を作る。

多田 荘一郎 GEヘルスケア・ジャパン社長兼CEO