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食も金融商品もトレーサビリティーが重要

納得のいく投資をしてじっくり待つには絶好のチャンス

  • 内藤 眞弓

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2008年10月28日(火)

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 私が子どもの頃、味噌や肉、豆腐などは必要な分だけを経木や竹の皮などに包んでもらって買っていました。鰹節は大きな入れ物に何種類か並べてあって、大人たちは味見をしてから買っていたのを覚えています。私も真似をして味見をするのですが、ちっとも違いが分からず、大人になると分かるようになるんだろうかと、密かに心配していたものです。

 買い物かごは縄で編んだようなものをボロボロになるまで使っていたような気がします。醤油やソースは一升瓶から小さな容器に移し替えて使っており、大人になれば軽々と一升瓶が扱えるようになるんだと、その日を夢見て心躍らせたものです。

 買ってくるのは野菜、魚、肉などの素材中心で、味噌や豆腐なども近くの工場で作られたものがほとんど。現代の食卓のような華やかさはありませんが、素材そのものの質が良い、今から思えば贅沢なものを日々口にしていたと感じます。食べ物が口に入るまでの過程がシンプルで、人と人が顔の見える関係でつながっているため、昨今繰り返し起こっている食の安全を脅かすような事件が発生する余地は少なかったと思われます。

分業社会を超え “細分化社会”時代となった現代

 「文明が進むにつれて人間は退化しているのではないか」といった意味のことを、物語中の人物に言わせているのは、確か夏目漱石だったような気がします。昔の人は食べるものを自分の手で栽培したり、生活の中で必要な道具も自分の手で作ったりしていました。ところが、現代(夏目漱石が生きていた明治から大正時代)は分業が進み、自分自身で作り出せるものは限られていて、人間は退化していると言うのです。

 時は下って平成の世。分業社会という範疇をはるかに超え、細分化社会とでも呼んだ方がよい時代となっています。いつでもどこでも、労せずして完成品が手に入るのは本当に便利です。例えば、温めるだけで食べられる調理済みの食品。私たちの手元に届くまでに、いったい何工程を経ているのでしょうか。使われる材料にしても、何種類もの野菜や肉、香辛料、食品添加物、ありとあらゆるものが世界中から集められているかもしれません。

「食のリスク」と「サブプライムのリスク」根っこは同じ

 様々な素材を混ぜ合わせて完成品に近づけていくほど、本来の姿が見えなくなり、そこに潜むリスクが見えにくくなります。製造の場が消費者から遠くなるほど、また素材の原形をとどめなくなればなるほど、商品に対する愛着や責任感も薄れていくかもしれません。多くの人の手を経てきたものは、異物が混入しても、どの段階で起きたのかを特定するのは至難の業でしょう。私たちは手軽さ、便利さと引き換えに、命をつなぐ食の安全をリスクにさらす暮らしを送っているとも言えます。

 米国のサブプライム問題も根っこは同じような気がします。本来は融資対象にならないような信用力が劣る人であっても、ローンを証券化して売ることによりリスクを飛ばすことができます。

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