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前FRB議長が勘違いした「米国は株主重視」

市場至上主義と株主至上主義は同義語なのか?

2008年11月3日(月)

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 日本では同義語として使う人が多いだろう。例えば、「株主利益ばかり追求し、従業員をないがしろにすると経営がおかしくなる。だから市場原理主義にはくみしない」などと語る経営者は大勢いる。

 米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題を発端にした世界的金融危機。当然のように市場至上主義に対する攻撃がエスカレートしている。集中砲火を浴びているのが、「マエストロ」と呼ばれた米連邦準備理事会(FRB)の前議長アラン・グリーンスパン氏だ。

 10月下旬の米下院公聴会でもそうだった。グリーンスパン氏は「なぜ市場に任せきりで、必要な対策を取らなかったのか」などと責め立てられた。同氏は過ちを認め、次のように説明した。

 「銀行は株主利益を重視するよう動機づけられており、株主資本を危険にさらすはずがないと信じていた。この考え方が誤りであったわけで、ショックを受けている」

 この発言に違和感を持つ日本人経営者は、多いのではないか。グリーンスパン氏は「銀行が株主利益を重視しなかったから、住宅バブルなど市場主義の行き過ぎが表面化した」、言い換えると「株主至上主義から逸脱したから、市場至上主義の弊害を招いた」と指摘したのだ。同氏の頭の中では、市場至上主義と株主至上主義は同義語ではない。

多額の金を張っているのだから無責任なことはしない

 スキン・イン・ザ・ゲーム――。

 サブプライムローン問題表面化後に『When Markets Collide(市場が衝突する時)』を緊急出版したモハメド・エルエリアン氏は、こんな表現を使って米国発金融危機の本質を説明した。同氏は、世界最大級の債券ファンドである米ピムコの共同最高経営責任者(CEO)だ。

 スキン・イン・ザ・ゲームとは、ゲーム(市場や企業経営のこと)に多額の自己資金を投じている状態を示す。「多額の自己資金を投じているから、無責任な行動を取ることはない。信頼してほしい」といった意味合いで使われることが多い。

 エルエリアン氏によれば、サブプライムローンを野放図に拡大していた銀行は、スキン・イン・ザ・ゲームに当てはまらなかった。証券化を通じてサブプライムローンを転売し、バランスシート(貸借対照表)から切り離していたからだ。

 だれがスキン・イン・ザ・ゲームの立場にあったのかというと、サブプライムローンの証券化商品を購入した最終投資家だ。エルエリアン氏は著書の中で「あまりに多くの最終投資家が格付け機関の意見に頼って証券化商品を買っていた。その格付け機関は非常に楽観的なパラメーターを使って意見を出していたというのに……」と指摘している。

自分も同じように苦しむ

 スキン・イン・ザ・ゲームは、米投資会社バークシャー・ハザウェイを経営する著名投資家ウォーレン・バフェット氏による造語であるとの説が有力だ。

 今年の長者番付世界首位になって注目を集めたバフェット氏は、数兆円に上る自己資産のほぼ全額をバークシャー株で保有している。スキン・イン・ザ・ゲームの代表例だ。このことについて、バークシャーの株主に対して次のように説明している。

コメント5件コメント/レビュー

基本的には、この「富が富を生む構造」を見直し、時間的経過によって生まれる富に上限を設けて行かなければ、自由主義経済社会はが壊れて行くと考えます。従来は、ハイリターンにはハイリスクが組み合わされ、バランスが取られてきたのですが、リスクヘッジ手法進歩に因り見かけ上のリスクが低減され、リスクが広く薄く負担される様になって来ています。その為、富裕層では、10%+α/年 のリターンは当たり前であり、それを下回るものは損失と道義に捉えられる様になってしまい、如何に安全にリターンのみを先取りするか、に注力されて来ました。つまり、⇒ このリターン分を先取りし、それを上回るか下回るかの不確定性を商品に変換し、ブレークダウンして広く薄くへの分配を繰り返し、大衆に負担させて行っているのが現在の姿なのです。その結果、この10%を越すリターンの確保に向け、力の有る者(リターンを先取りできる者)が力の無い者(3%/年未満のリターンしか期待できない者)にしわ寄せを行う事となり、レバレッジ等で過大に膨れた信用(実体の無い経済)が破綻を繰り返しながら「市場」を収縮させる方向に動いて行くと。⇒ 直接的な「しわ寄せ」の最たるものとしてサブ・プライム・ローンが上げられます。裕福層のリターンの先取りに組み入れられた、返済能力の低い層へ過重な金利での安易な貸し付けがその本質なのです。住宅価格上昇に伴う与信の拡大は、一旦、価格の下降が始まると逆の信用収縮を引き起こし、この層から資産の引き剥がしへと進んで行き、公的な資金での損失補填に至ると云うもの。⇒ 投資の市場や生産財の消費も、連鎖の最終としては一般消費市場でのゲインを前提(実体経済での利の確定)として動いて行くので、結果として収縮方向へ行くと。(2008/11/04)

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基本的には、この「富が富を生む構造」を見直し、時間的経過によって生まれる富に上限を設けて行かなければ、自由主義経済社会はが壊れて行くと考えます。従来は、ハイリターンにはハイリスクが組み合わされ、バランスが取られてきたのですが、リスクヘッジ手法進歩に因り見かけ上のリスクが低減され、リスクが広く薄く負担される様になって来ています。その為、富裕層では、10%+α/年 のリターンは当たり前であり、それを下回るものは損失と道義に捉えられる様になってしまい、如何に安全にリターンのみを先取りするか、に注力されて来ました。つまり、⇒ このリターン分を先取りし、それを上回るか下回るかの不確定性を商品に変換し、ブレークダウンして広く薄くへの分配を繰り返し、大衆に負担させて行っているのが現在の姿なのです。その結果、この10%を越すリターンの確保に向け、力の有る者(リターンを先取りできる者)が力の無い者(3%/年未満のリターンしか期待できない者)にしわ寄せを行う事となり、レバレッジ等で過大に膨れた信用(実体の無い経済)が破綻を繰り返しながら「市場」を収縮させる方向に動いて行くと。⇒ 直接的な「しわ寄せ」の最たるものとしてサブ・プライム・ローンが上げられます。裕福層のリターンの先取りに組み入れられた、返済能力の低い層へ過重な金利での安易な貸し付けがその本質なのです。住宅価格上昇に伴う与信の拡大は、一旦、価格の下降が始まると逆の信用収縮を引き起こし、この層から資産の引き剥がしへと進んで行き、公的な資金での損失補填に至ると云うもの。⇒ 投資の市場や生産財の消費も、連鎖の最終としては一般消費市場でのゲインを前提(実体経済での利の確定)として動いて行くので、結果として収縮方向へ行くと。(2008/11/04)

リスクを移転し過ぎた結果として歯止めが利かなくなったという側面があるとすれば、これからは過度にリスクを移転するような会社に対しては厳しい目が注がれることになるでしょう。監視がある程度行き届くような、適切なシステムが作られることを望みます。大体、「危険は大方僕以外のもの、報酬は大方僕のもの」なんて、考えてみれば変ですよね。(2008/11/04)

グリーンスパンの「解決策としては、証券化商品をすべて転売せずに、相当額を自己資産として持ち続けるよう銀行に義務づけることだ」という発言は当を得ていないように思えます。この論でいくと不動産販売業者は「発売するマンションのうちの半分を転売せずに持ち続け」なければなりませんし、株式を発行する企業は「発行した株式のうちの半分は投資家に売らずに自分で持た」なければならなくなるでしょう。(50億円を増資して50億円を自分で買えば、1円も手に入らない。)「リスクを他者に転嫁する」という行為は多くの事業の基本的なビジネスモデルのはずです。ですから問題の本質はサブプライムローン証券を発行した者にあるのではなく、それを買った側(しかも大量に買ってリスクを自分で引き受けてしまった機関投資家)にあるのではないでしょうか。(2008/11/04)

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