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欧州株低迷、打開策は不良債権切り放し

  • 服部 哲郎

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2008年11月19日(水)

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 欧州の主要株価指数FTSE100種総合は、米国投資銀行破綻によって投資環境が激変した9月中旬から10月27日の年初来安値まで約30%下落した。協調利下げ、銀行への公的資金の資本注入、日本、中国ドイツの景気対策などの政策対応を受けて、下げ幅の半値戻しの水準まで回復したが、依然として不安定な推移が続いている。

その背景には、

 (1)金融危機の悪影響が、日米欧の先進国に加えて新興国にも及び、企業業績の悪化が進んでいる、

 (2)金融機関のデレバレッジの悪影響からファンドなど投資家の投資余力が失われている、

 (3)銀行の資本不足や貸し渋りに対する懸念が払拭されていないこと

などの要因が挙げられる。特に懸念されているのは、今回の市場の動揺、景気悪化の元凶である(3)の金融機関の動向、である。以下では金融問題について欧州の状況をまとめてみよう。

公的資金の資本注入などで、銀行の資本調達は急増しているが・・・

 金融危機が深刻化した今年9月以降、金融機関の公的資金受け入れを含む資本調達額は急増している。米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題発生以降に、欧州金融機関が資本調達した累計額は3057億ドル(直近の為替相場で約29兆円)に達した。

 これは、同時期に発生した評価損と貸し倒れ損失の合計累計額2339億ドル(同22兆円)を上回っている(2008年11月7日現在、ブルームバーグ調べ)。しかし、銀行の資本不足問題は解決から程遠い。その背景には、2つの要因が挙げられる。

 第1に、ECB(欧州中央銀行)の調査によれば、ユーロ圏銀行の2008年第3四半期における有価証券の評価損は前年同期比96.4%増と急増し、欧州の不動産バブル破裂や景気悪化に伴う貸し倒れ損失も同75.6%増となった。証券化商品などの評価損に加えて、実体経済の悪化による損失が急拡大しており、今後も損失拡大が続くと予想される。

 第2に、金融危機の深刻化を受けて、市場が銀行に求める銀行の自己資本比率、中でも銀行の自己資本の基礎的項目で、普通株、優先株などから構成されるTier1比率の水準が上昇していることだ。

 IMF(国際通貨基金)は、金融危機再発防止に向けて、金融機関は損失を吸収する緩衝材である自己資本を、従来の市場が認識していたTier1の水準から30~40%上乗せしたレベルまで積み増すべきであると提言している(IMF Global Financial Stability Report September 2008)。

 具体的な数字を追ってみると、2008年12月期上期における欧州主要銀行17行におけるTier1比率の単純平均は8.7%であった。その後、これら銀行の多くが増資を実施した。これら増資が2008年12月期上期に実施されたと前提した場合では10.4%に達する。実際に、銀行は株主割当増資や公的資金の受け入れを通じて、自己資本比率の引き上げに追われている。

欧州の銀行が必要とする資本調達額は90兆円?

 そこで、IMFの提言を基に、自己資本の積み増しに必要な金額に関して、ティア-1の数字ではなく、自己資本比率を用いて試算してみる。1997年9月から2008年9月までの自己資本比率(月次)の平均を従来の水準と仮定し、その水準を30%引き上げるために、2008年9月時点における必要な資本調達額を試算すると、英国の銀行では1607億ポンド(同約24兆円)、ユーロ圏の銀行では5200億ユーロ(同約65兆円)となる。

 金融機関への資本注入を目的に用意された公的資金の金額が英国では500億ポンド(同約7兆円)、ユーロ圏ではドイツ、フランス、オランダ、オーストリアの4カ国合計で約1550億ユーロ(同約19兆円)であり、これまでに調達された金額を加味しても、試算で示された必要資本額とのギャップは大きい。

 ユーロ圏では、銀行の貸し出しは伸びているものの、伸び率の鈍化が著しい。このような状況を裏付けるように、ECBの銀行貸し出しサーベイによると、2008年第4四半期の見通しでユーロ圏銀行の与信審査基準は企業向け融資、住宅ローンともに一段と厳格化している。中央銀行の流動性供給や公的資金の資本注入の効果などから銀行間金利の低下が続いているものの(図)、銀行間の不信感は依然として払拭されていないとの慎重な見方も根強い。

英米ユーロ圏における3カ月物銀行間金利の推移

英国はマイナス成長、ドイツはリセッション入り

 このように、銀行が貸し出しの伸びを加速させる環境は実現していない。むしろ、増資が困難になれば、銀行は資産圧縮をさらに強化し、貸し渋りの深刻化を招き、実体経済が一段と悪化することは避けられないであろう。

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