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新興国危機がもたらすドルの地位安定の皮肉

  • 吉本 元

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2008年11月21日(金)

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 米国発の金融市場の混乱は、投資家をリスク回避的にさせた。この影響でこれまで好調とされてきたはずのエマージング経済に、影響が出始めている。

 IMF(国際通貨基金)はウクライナやハンガリーなどの新興国への緊急融資などを実施した。こうした支援は、皮肉にも、今回の混乱を引き起こしたのが米国であるのにもかかわらず、むしろドルの国際通貨としての地位を高めることになろうとしている。

 これまで、海外からの資金流入に支えられてきたエマージング諸国の資金繰りが、昨年の金融市場の混乱を機に悪化、米国経済の失速に対して耐性があるとするデカップリング(非連動)論は影を潜めている。通貨が主要国通貨に対して切り下がっており、10年前のアジア通貨危機やロシア通貨危機を彷彿させる展開になっている。

■ エマージング諸国によるIMF融資の申請

国名 総額
(億ドル)
経緯
アイスランド 21 11月19日、IMF理事会により承認。
セルビア 5.2 11月14日、IMF理事会により承認。
ハンガリー 157 11月6日、IMF理事会により承認。63億ドルをただちに融資。
ウクライナ 164 11月5日、IMF理事会により承認。45億ドルをただちに融資。
ベラルーシ 20 10月22日に同国政府がIMFに融資を要請。協議開始。

(出所)IMF、各種報道より野村證券金融経済研究所作成

 こうした問題に対して、IMFが前面に立って対処している。10月24日にアイスランドが20億ドルの融資をIMFに申請し、11月19日に同理事会で承認した。さらに、11月5日にはウクライナに対して164億ドル、11月6日にはハンガリーに対して157億ドル、11月14日にはセルビアに対して5.2億ドルの融資がそれぞれIMF理事会によって承認されている。また、ベラルーシも20億ドルの融資をIMFに要請している状態である。

 今後も、海外からの借入による資金繰りが悪化し、通貨の下落が顕著になっている国が、IMFに対する融資を申請する可能性が残っている。11月14~15日に開催された緊急金融サミットでも、日本が外貨準備のうち最大1000億ドルの融資を提案するなどの後押しもあり、IMFの強化や資本増強が首脳宣言に盛り込まれている。

欧州の「過剰な反応」

 その一方で、金融サミットで、フランスのサルコジ大統領がドルを基軸通貨とする体制の見直しを議題とすることを画策していたり、欧州側がIMFに代わる国際開発機関の創設を呼びかけたりしていた。これらの提案は、いずれも首脳宣言には盛り込まれなかったが、通貨危機に陥った東欧諸国に対してドルではなく、ユーロを融資することで、結果的に国際通貨としてユーロの地位を高めようとする狙いが見える。

 当初、米国の住宅市場や金融機関の問題とされてきた、金融市場の混乱が、欧州にも波及し、欧州独自の要因や混乱収拾の処理の遅れを市場が織り込み始め、ユーロが足元でドルに対して大きく減価している。その中で、エマージング諸国の通貨危機に対して、IMFを通じて、ドル資金による緊急融資が行われれば、結果的にドルの国際通貨としての地位を強化することになり、ユーロの価値の相対的な低下を後押しすることになりかねない。そうした「焦り」が、欧州側の「過敏な反応」を生んだとも言えよう。

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