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スーパーAAAを作った錬金術

2008年12月15日(月)

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 現代版錬金術――。これにふさわしい道具が債務担保証券(CDO)だろう。CDOを使えば、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)でさえも、「トリプルA(3つのA)」どころか「クワドループルA(4つのA)」に“化けて”しまうからだ。

 そんなCDOを大規模に使った代表格が米シティグループだ。トムソン・ロイターの調べでは、同社は2007年、493億ドル相当のCDOを発行している。全世界の発行額(4423億ドル)の1割以上を占めた計算になる。原資産として多用したのがサブプライムローンである。

 結局、シティは経営破綻の危機に直面し、米政府に救済された。最大7000億ドルの公的資金活用を定めた米金融安定化法に基づいて公的資金の注入を受けたのだ。錬金術に踊った銀行に税金が導入される構図に批判が集中した。銀行の上得意からも批判が出た。

米史上最大のポークバレル

 例えば、老舗買収ファンドである米KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)の共同創業者ヘンリー・クラビス氏。10月上旬、カリフォルニア州のクレアモント・マッケナ大学で講演中に、「銀行救済法」とも呼ばれる金融安定化法に触れ、「米史上最大のポークバレル(予算バラマキ対策)」と切り捨てた。

 マッケナ大学は母校であり、講演は非公開だった。それだけに、クラビス氏はいつになく饒舌だったようだ。出席者によると、次のような発言もあった。

 「金融危機はいす取りゲームのようなものだ。少し前まで銀行はいくらでも融資してくれた。音楽がかかっていたから、陽気に踊り続けていた。でも、音楽が止まると、たちまち窮地に陥った。座るいすがなくなったのだ」

 クラビス氏は、シティの前CEO(最高経営責任者)チャック・プリンス氏が使った比喩を借用していた。プリンス氏は経営危機の責任を取らされて退任する前、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙とのインタビューに応じ、「音楽がかかっている限りは、立ち上がって踊らなければならない。我々はまだ踊っている」と語ったのだ。

 CDOはデリバティブ(金融派生商品)の一種であり、裏づけとなる原資産は銀行のローンだ。もともとは企業向けローンが中心だったものの、徐々にサブプライムローンも大きなシェアを占めるようになった。

 CDOを利用すると、信用格付けで最高格のトリプルAはもちろん、トリプルAを超える「スーパートリプルA」にさえなった。サブプライムローンのような高リスク資産であっても、である。信用が第一の銀行にとって、トリプルA資産を生み出すCDOには抗しがたい魅力があった。

錬金術のカラクリ

 FTのウェブサイトである「FTアルファビル」のブロガーであるサム・ジョーンズ氏は、「シンセティック(合成)CDO」と題した記事の中で錬金術のカラクリをずばり書いている。

 ある銀行が貸出先100社から総額100億円の金利収入を得ているとする。100社は、投資適格として最低のトリプルB以上で構成されている。となると、「どんなに景気が悪くなっても、100社が『一斉』に倒産することはない」という前提もおかしくない。

 最悪シナリオでも同時倒産するのは20社にとどまると想定しよう。専門用語を使えば、「アタッチメント点」を20%に設定するということだ。1社当たり1億円の金利収入であるから、デフォルト(債務不履行)に伴う最大損失は20億円になる。

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