日本、米国、ユーロ圏、そして英国が2008年7〜9月期に揃って前期比マイナス成長に陥り、新興国にも減速感が広がる中で、世界景気の低迷に歯止めを掛けるため、主要先進国、新興国が金融、財政政策による景気対策を相次いで打ち出している。グローバル規模での政策協調が進んでいる。
欧州主要国に目を転じると、住宅、商業用不動産価格の急落から内需が冷え込んでいる英国では、中央銀行のイングランド銀行が10月以降300ベーシスポイント(bp、1bpは0.01%)の大幅な金融緩和を実施した。
そのうえ、11月に発表した2009年度予算案には、2008年12月からの付加価値税率の引き下げ(17.5%から15%へ)や公共事業の前倒しなどで、2010年3月までに総額200億ポンド(約2兆7000億円)の景気刺激策が盛り込まれた。この数字は2007年の名目GDP(国内総生産)比で1.4%に当たる。金融機関への公的資金の資本注入でも先鞭をつけたように、政策対応では能動的である。
2008年7月から12月までEU(欧州連合)の議長国を務めるフランスは、サルコジ大統領がEUの協調政策のイニシアティブを取っている。インフラ投資や車齢10年超の自動車を二酸化炭素の排出量の少ない新車に買い替える促進策など、総額260億ユーロ(約3兆1000億円、2007年名目GDP比1.4%)の経済対策を発表した。
批判強いドイツの対応
ところが、EU最大の経済力を持つドイツの動きが鈍い。ドイツ政府は11月に企業の投資促進、環境対策を目的とした建物改築奨励策、新車購入後の一定期間における自動車税免除などの景気対策を発表し、その経済効果が500億ユーロ(約6兆円、同2.1%)に達すると推定した。
しかし、民間企業が投資を実施しなければ財政支出が実行されないなど、民間の自助努力に依存するスキームが多く、政府の掲げる経済効果は全くの幻想に過ぎない、との辛口の見方が多い。財政支出額はドイツ連銀によれば2年間で120億ユーロ(約1兆4000億円、同0.5%)に過ぎない。
また、欧州委員会が、加盟国が合計1700億ユーロ(約20兆円)を負担し、総額2000億ユーロ(約24兆円、EU27カ国の対名目GDP比で1.5%)の経済対策を発表したが、ドイツは当初追加の景気対策には消極的であった。しかし、12月11、12日開催のEU首脳会議で、ドイツは協調財政政策に合意した。
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1960年東京都大田区生まれ。1983年早稲田大学政経学部卒業。造船会社、証券会社を経て2000年、野村證券入社。金融研究所投資調査部を経て、2002年から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

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