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未曾有の粉飾事件が脅かすインド神話

  • 豊島 信彦

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2009年1月20日(火)

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 「そんな汚れた企業から人を採用するつもりはない」

 世界的に名が知られたインドのIT(情報技術)最大手、インフォシス・テクノロジーズのナラヤナ・ムルティ会長は、現地のテレビ番組の中でこう述べた。ムルティ会長の言う汚れた企業とは、今月7日、500億ルピー(約970億円)とインド史上まれに見る巨額の粉飾決算を行っていた事実を明るみにした業界4位のサティアム・コンピューター・サービシズのことだ。

 この事件でインドの代表的な株価指数であるSENSEXは、事件が発覚した7日に7.2%も急落する。サティアムの不正に多くのインド企業が翻弄された格好だ。インフォシスのムルティ会長はテレビ番組の中で、「サティアムの5万3000人の従業員が職を求めてきても、自分は受け入れない」と言明した。

 高潔で知られるムルティ会長が一時の感情でそうした考えを述べたのではないことは、翌日も地元経済紙の取材で同じ発言を繰り返したことで分かる。こうした激しい言葉の裏には、インド企業が、すべてサティアムのように見られるのは、たまらないという気持ちがあるのだろう。

 今回の事件で、インドに限らず世界中にその名を知らしめることになったサティアムは今、存亡の危機に立っている。手元資金が底を突き1月分の給与の支払いもおぼつかない。政府は救済のために緊急会議を開催しており、地元メディアは政府が50億~200億ルピー(約97億~390億円)の公的資金注入を検討していると伝えている。

株価は4分の1に

 サティアム事件の衝撃は大きい。不正会計事件でサティアムの創業者で会長だったラマリンガ・ラジュ氏は7日に会長を辞任、同日暫定CEOに就任したラム・ミナムパティ氏は、過去数年間にわたる粉飾決算を認めた。この日、ムンバイ市場に上場していた同社株は179.1ルピーから39.95ルピーに4分の1以下に暴落した。

 ミナムパティ暫定CEOによると、同社の第2四半期決算(2008年7~9月期)には売上高が211億ルピー(約409億円)から270億ルピー(約524億円)に水増しされたという。ほかにも現預金が実際の32億ルピー(約62億円)から536億ルピー(1040億円)に大幅にかさ上げ、負債も123億ルピー(約239億円)の過小計上があった。資産に計上していた現預金の94%は粉飾だったことになる。

 さらに、今後の給与や仕入れ先への支払い資金が調達できるか分からないとした。毎月の営業費用は給与その他で合計100億ルピー(約194億円)が必要だが手元資金は、ほぼゼロに近いという。先の公的資金注入は緊急を要する事態なのだ。

 問題はこれで終わらないことだ。同社のコーポレートガバナンス(企業統治)の問題は以前から指摘されていた。そして事件の輪はさらに広がる気配だ。

早期幕引きを図る政府

 経済誌ビジネス・インディアは1月11日号(12月29日発売)で、サティアムは「基本戦略は投資家の利益に立つこと」という社是を表明しながらも、コーポレートガバナンスに問題がある企業だとして特集を組んだ。

 それによると、昨年12月16日に、サティアムの経営陣は750億ルピー(約1455億円)で建設会社のマイタス・インフラ(ムンバイ証券取引所上場)と不動産会社のマイタス不動産(未上場)を買収すると発表したが、その時点で同社が保有する現預金は480億ルピー(約931億円)に過ぎず、銀行筋から疑義が投げかけられた。

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