前回に引き続き日経ビジネス特集『引き算のヒット術』の関連記事第2弾はソースネクスト4344の松田憲幸社長だ。
同社は用途や機能を絞り込んだパソコン用ソフトを1980円という価格で売り出し、2003年から6年連続で販売本数シェア1位を獲得している(GfKジャパン調べ、全国有力家電量販店の販売実績に基づく)。
一見すると単なる安売りにも映るやり方ではあるが、顧客に提供する価値と価格のバランスを考慮したうえでの戦略的な値付けだった。
―― 「パソコン用ソフトは高い」というイメージがありますが、ソースネクストは大半のソフトを1980円という思い切った価格で売り出し、これまで販売本数を伸ばしてきました。

ソースネクストの松田憲幸社長
松田憲幸 商品を通じてお客様に提供するバリューとその商品のプライスのバランスを取ることにものすごい力を入れています。根底には、商品を通じてお客様が儲からなければいけない、という思想があります。
例えば5000円出しても買いたいというソフトを1980円で売るとします。お客様は3020円分儲かったことになりますよね。この3020円を我々は「お客様粗利」と呼んでいます。
高く売れるものを安く売るわけですから、我々が損をしているようにも見えますが、実はそうではありません。なぜならば、お客様粗利が増えればブランド価値が高まる、と考えているからです。
ここで言うブランド価値とは、次もこの会社の商品を買ってもよいとお客様に思っていただくことです。5000円の価値のソフトを1万円で売ったとしたら、お客様は5000円分損をすることになります。そうするとそのお客様は二度と当社の商品を買うことはないでしょう。
「1度きりの関係」で終わりにしない
お客様と1度きりの関係で終わるか、何度も商品を買っていただく関係となるか。ソースネクストは後者を選びたいと考えています。
パソコン用ソフトには、セキュリティー対策ソフトのように必ず買う必要があるものもありますが、当社は娯楽ソフトなども扱っています。ですから、そのような必ず必要とは言えないソフトも、お買い求めいただく関係をお客様と作る必要があります。
―― 商品の価値と価格のバランスは、どのように取るのですか。
松田 実は、商品の絶対額は、あまり関係ないと思っています。例えばファーストリテイリング9983の「ユニクロ」で売られている980円の衣類は、単なる安物ではありません。
品質が悪ければ今の消費者にはすぐに見抜かれてしまいます。商品の価格と価値のバランスが取れているからこそ多くの消費者から支持され、その結果が業績となって表れているのだと思います。
お客様自身も、この商品を買ったら得をするかどうかという考えで購入を判断されているのではないでしょうか。必ずしも商品の絶対額が安いというだけで買っているわけではないと思います。
パソコンソフトで言えば、例えばシステム系ソフトはデータの圧縮や解凍だけでなくファイルの復元機能など、様々な要素を盛り込んで1万円近くで販売されてきました。たくさんの用途に使えるのでお得な感じもしますが、すべての機能が必要な人は案外少ないものです。
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