「6割経済・サバイバル術 商品開発編」

ジャパネット的売れる値段とは

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2009年2月12日(木)

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 前回に引き続き日経ビジネス特集「『引き算』のヒット術」の関連記事第3弾は、通信販売でお馴染みのジャパネットたかた(長崎県佐世保市)だ。激烈な価格競争に見舞われる家電販売業界において、ジャパネットたかたは着実に業績を伸ばしている。

 2007年12月期の売上高1161億円。過去3年間の平均伸び率は21%を超える。通販最大手である千趣会8165の同期売上高は1568億円。取り扱う商品ジャンルは違うとはいえ、ジャパネットたかたの収益力は業界最大手に迫る。その成長には、独特の甲高い声で熱心に商品を紹介する高田明社長は欠かせない存在だ。

 しかし、同社の成長基盤は、高田社長に限らず、パート、アルバイトを含めた350人の従業員が、一丸になって顧客の声に耳を傾ける努力によって築かれている。管理部門の秘書室のスタッフも、時間がある時は顧客からの電話に対応する。経済環境が悪化の一途をたどっている中で、顧客が本当に何を求めているのは何か。高田社長に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス記者 坂田 亮太郎)


高田 明(たかた・あきら)氏

高田 明(たかた・あきら)氏
ジャパネットたかた・社長
1948年長崎県平戸市生まれ、60歳。大阪経済大学経済学部卒業後、機械メーカー、実家のカメラ店の手伝いを経て、86年に家電販売店「たかた」を設立。90年に地元ラジオ局で通販番組を開始し、テレビ通販にも進出した。99年に「ジャパネットたかた」に社名変更。

(写真:矢野 豊)

 ―― 消費不況が叫ばれる中で、消費者の行動に何か変化を感じていますか。

 高田明 家電業界では、「日本人はたくさん機能がついていないと買ってくれない」という意識が半ば常識になっていました。一方、米国人は機能や品質は必要最低限で十分で、その分価格を安くしてほしいと言う消費者が多いと言われてきました。

 ただ、最近のヒット商品を見たり、私どものお客様相談窓口に寄せられる声を聞いたりしていると、今まで常識と思われてきたことにも変化が表れていると感じています。どうやら日本の消費者も、自分が必要としない機能や品質はもう要らない、という意思表示を始めてきたのではないでしょうか。

 そこで当社では、我々が提供している商品の価格が「お客様から見た価値」に見合っているかどうかについて、以前にも増して真剣に検討しています。私はこれを「支払い価値」と呼んでいます。

 ―― 過去の不況期では、とにかく安いものが売れました。

 高田 価格を安くすれば売れるとは思えませんね。支払う価格に商品の価値が見合っていれば、10万円だろうと100万円だろうと、絶対的な金額は関係ありません。私どもが一押し商品に選ぶ基準は、お客様にこの支払い価値が提供できるかどうかで決まります。

おもちゃは子供のもの、ではない

 例えば、ジャパネットたかたで紹介したセガトイズの「グランドピアニスト」という商品があります。実物の6分の1サイズの小さなピアノで、自動演奏のほか実際に鍵盤を押して演奏もできます。4万9800円という価格で売り出しましたが、我々だけでなくメーカー側も驚くほど売れました。

グランドピアニスト

グランドピアニスト

 音楽を聴くだけならば、1万円も出せば立派なCDプレーヤーが買える世の中ですよ。グランドピアニストは精巧に作られた小さなピアノで、鍵盤が奏でる音を生で聞くことができます。

 それは5万円近いお金を支払うだけの価値がある。そうお客様に感じていただいたからこそ、ヒットしたんだと思います。私も1台グランドピアニストを持っていますが、生の演奏を聴いていると何ともジーンと来るんですよ。

 「おもちゃは子供のもの」という常識に囚われていたら、5万円という値付けはできなかったはずです。繰り返しになりますが、商品がお客様に提供する価値がどれだけあるのかということを、吟味しなければなりません。

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著者プロフィール
坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経BP社北京支局長。入社してから6年間はバイオテクノロジーの専門誌「日経バイオテク」で記者として修行、2004年に「日経ビジネス」に異動、以来、主に製造業を中心に取材活動を続けた。2009年から北京支局に赴任し現在に至る。趣味は上手とは言い難いがバドミントン。あと酒税の安い中国はビール好きには天国です。

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