• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

売却価格を決める前に家を売りますか

3損保経営統合が象徴する「不思議の国のM&A」

2009年2月16日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 海外に住んでいると、しばしば日本発のニュースに違和感を覚える。その代表例がM&A(合併・買収)だ。

 今年1月下旬に正式発表になった三井住友海上グループホールディングス(三井住友海上HD)8725、あいおい損害保険8761、ニッセイ同和損害保険8759の3社経営統合も例外ではない。三井住友海上HDが買収者としてあいおいとニッセイの株主にいくら払うのか、明らかでないからだ。それもそのはず、三井住友海上HDは買収価格(厳密には統合比率)を決めていないのだ。

三井住友海上HD、あいおい、ニッセイの株価動向

 3社に言わせれば「今回は経営統合であり買収ではない」となるかもしれない。しかし、世界の常識に従えば、実態は「三井住友海上HDが株式交換であいおいとニッセイを買収する」である。

 M&Aは企業を売買する行為であり、必ず買い手と売り手が存在する。事実、トムソン・ロイターなどの調査会社が集計するM&Aの統計では、日本も含め世界のあらゆるM&A案件が「買う側」と「売る側」に分類される。三井住友海上HDは株式時価総額であいおいの3倍以上、ニッセイの5倍以上であり、明らかに買う側にある。

オーナー不在のM&A

 売買の対象が何であれ、大きな買い物であれば焦点は価格になる。企業にとって最大の買い物がM&Aであるとすれば、個人にとって最大の買い物は住宅だ。買い手にとっては物件の場所や広さも気になるが、売り手にしてみれば価格こそ最重要事項である。

 当たり前だが、持ち家を売りに出したオーナーは高い価格を提示する相手に売りたいと思うし、低い価格を提示する相手は避けたいと思う。価格を提示しない相手は論外だ。

 M&Aでは、オーナーは株主だ。会社が売りに出れば、最大の関心事はいくらで売れるかになるはずだ。欧米発のM&Aニュースでは必ず買収金額が注目され、マスコミは買収金額を踏まえて「過去最大のM&A案件」などと報じる。

 ところが、日本のM&A市場はオーナー不在で、「価格を提示しない相手と売買契約を結ぶ」がまかり通っている。これは拙著『不思議の国のM&A』(日本経済新聞出版社)のテーマであり、筆者が新聞記者時代に何度も取り上げた問題でもある。だが、「何か変だ」といった見方は広がっていない。

価格を決めない売買契約

 三井住友海上HDは「資産査定を終えてから統合比率を決める」と説明しているようだ。一見すると理にかなった説明だ。あいおいとニッセイの資産査定を進めていくうちに、表に出ていない不良資産の存在を突き止めることができるかもしれない。数カ月かけてすべてを徹底的に調べ上げなければ、買収価格を決められないというわけだ。

 だが、個人が家を買う場合、「実際に数カ月間住んでみて、不具合がないかどうかチェックしてから、いくらで買うかお伝えします」と言って、売買契約だけ先行して結べるだろうか。買い手にしてみればできるだけ長い時間をかけてチェックしたいのは当然だが、売り手にしてみればとんでもない話だ。価格がなければ何も始まらない。

 資産査定の結果として出てきた価格も絶対的ではない。特定企業の価値が絶対的にどのぐらいかというのは、理論上はあり得ても、実際にはどんな専門家にも分からない。100人のアナリストに聞けば、100通りの企業価値が出てくる。

コメント7

「牧野洋の「世界の常識・日本の非常識」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

誰もやらない領域を根気強く続けられるかが成功の秘訣。

田坂 正樹 ピーバンドットコム社長