「Money Globe ― from London」

Money Globe ― from London

2009年2月18日(水)

英国発の脱・金融危機策に注目

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 今シーズンのロンドンの冬は、まさに記録ずくめだ。昨年10月に初雪が降ったのは74年ぶり、今年に入っても18年ぶりの大雪で公共交通機関は大混乱に陥った。

 異常な事態は、天候だけではなく経済や金融面でも起きている。英国の中央銀行、イングランド銀行は2月、基準金利を再び引き下げ1.00%としたが、これは1694年の設立以来の最低水準で、記録更新は実に315年ぶりのことである。

 英国では、2008年11月の景気先行指数が前年比6.9%の下落となり、2008年10〜12月期の実質GDP(国内総生産)成長率も速報値で前年比1.5%の落ち込みになった。大幅かつ急速な利下げにもかかわらず市中貸出金利は十分に低下せず、住宅ローンの承認件数は大きく落ち込んだままで、信用面の制約が依然として改善していない。

 欧州でも実体経済の悪化に拍車がかかっている。ユーロ圏における1月の購買担当者景気指数(PMI)は前年比26.1%の低下、昨年11月の鉱工業生産指数も同7.2%の下落となった。

 2008年10〜12月期の実質GDP成長率は、前年比で2%程度、前期比年率で6%程度もの大幅縮小になった可能性がある。こうした急激な生産調整は、自動車など耐久消費財や資本財など資金借り入れを伴う分野を中心に起きており、金融市場の混乱が引き金になっていることがうかがわれる。

ユーロ圏の成長率と企業景況感

英政府が打ち出した金融機関の“損失確定”策

 これまで欧州各国政府は、預金者保護を名目に公的資本を金融機関に注入してきたが、金融機関に対する不信を払拭するには至っていない。これは保有資産の評価額が低下を続けているからだ。

 金融機関の損失を確定できない限り、資本注入額が十分であるかどうか、最終的な判断を下せないのである。もちろん、資産価格が底入れするまで待つという選択肢もあるが、その間は金融機関への不信、金融仲介機能麻痺が継続することを覚悟せねばならない。

 その意味では、金融機関から不良資産を買い取ることが最も望ましい対応策であると考えられる。ただし、買い取り価格を決定することが難しいうえに、金融機関救済色が強いために政治的にも不人気である。

 こうした状況の中で英財務省は、銀行からの貸し出しが伸びないことが景気拡大を阻害していると判断。1月19日に、イングランド銀行による資産買い入れスキーム(APF)導入や、金融機関の資産保護スキーム(APS)導入などを柱とした追加金融対策を発表した。

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著者プロフィール

池田 琢磨(いけだ・たくま)
ノムラ・インターナショナル シニアエコノミスト

池田 琢磨 1990年東京工業大学工学修士課程修了、96年東京大学経済学修士課程修了。野村総合研究所、郵政研究所、野村総合研究所アメリカ、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルを経て、2007年より現職。


このコラムについて

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環境、会計など様々な分野で影響力を誇示する欧州の経済情勢を、現地の専門家がマクロ、為替、金融政策、M&A(合併・買収)など様々な観点から分析する。

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