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お互い様というセーフティーネット

  • 内藤 眞弓

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2009年2月24日(火)

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 「人に迷惑をかけちゃいけません」

 親や先生からよく聞かされる言葉です。でも、この言葉をきまじめにとらえ過ぎると、自己責任の波にのみ込まれてしまったり、逃げ場がなくなって自分を責めるか、引きこもらざるを得なくなったりするような気がします。

気づかないうちに膨れる暮らしのコスト

 生きていれば誰かに迷惑をかけるのは当たり前。大人になるということは、迷惑を上手にかけたり、かけられたりすることを身につけていくことだと思います。ところが今や、向こう三軒両隣、味噌や醤油を貸し借りし合う関係はほとんど見られなくなっています。それに伴い、気づかないうちに暮らしにかかるコストが膨れていきます。

 私が生まれ育ったのは香川県高松市。かつては自宅から歩いていける範囲に小学校や中学校があり、お寺があり、診療所や中小規模の病院があり、暮らしに必要なひと通りのものが間に合う商店街がありました。その多くが顔の見える関係でつながっていました。

 私の両親は共働きで、父は理容師、母は美容師でした。子供の頃のわが家は、1階が床屋とパーマ屋の2つの店舗でしたが、奥ではつながっており、2階は住まいになっていました。近所の商店のおかみさんが髪をセットに来たり、幼稚園や学校の先生も時々来てくれたりしていました。周辺は小さな子供が多く、少しだけ大きい子が小さな子の面倒を見たり、商売が忙しくて手が回らない親に代わって、赤ちゃんのオムツを替えたりということもありました。まさに“三丁目の夕日”の時代です。

若い頃から住み込みの弟子たちの面倒を見ていた父

 父は25歳で店を構え、私が物心ついた頃は若いお弟子さんたちが5~6人、寝食を共にしていました。おそらく中学を卒業してすぐに親元を離れ、手に職をつけるために知り合いの伝手で弟子入りした人たちだったと思います。父は彼らの寂しさを紛らすために、あるいは外で遊びの味を覚えて仕事に身が入らなくなることを心配して、パチンコ台を数台借りてきては遊ばせたり(ただし、お金が賭けられないと面白くないようで、すぐに見向きもされなくなりましたが)、エレキギターが流行れば閉店後の店で練習させたり、いろいろと心を砕いていたようです。

 中には挫折する人もいたようですが、彼らは1人2人と独立していきました。

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