米経済は2008年第4四半期に急激に落ち込んだ。最近の経済指標からは、今年第1四半期に入っても景気は明らかに弱い状況のままであることが読み取れる。第1四半期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で約5%のマイナス成長となり、この傾向は恐らく第2四半期に入っても変わらないだろう。
現在は経済指標も悪く見通しも暗いが、今年後半にはわずかながら経済成長はプラスに転じ、2010年にはさらに回復が進むと筆者は予想する。それほど強い拡大基調にはならないと考えているが、経済は落ち込みから抜け出し、成長を開始するはずだ。
景気後退から脱却するうえで、3つの要素が相乗効果を発揮すると考えている。すなわち、財政政策による経済活動の押し上げ、金融政策による資金供給拡大での需要の喚起、そして民間部門の低落傾向からの脱却である。
GDPの3%に相当する財政支出
バラク・オバマ米政権と米議会は、経済を成長軌道に戻すために思い切った財政政策に乗り出している。2月に議会が承認した財政支出と減税による景気対策の規模は、GDPの約5.5%に相当する(対策の実施は2年間にわたるため年換算では約2.8%)。この景気対策の有効性についてエコノミストの評価は大きく分かれているが、大半の意見は好意的だ。
オバマ大統領の経済政策顧問は、財政政策への伝統的な見方に基づき、米議会で可決された景気対策法案は、景気対策を行わない場合に比べ2010年末までに実質GDPを3.7%押し上げると予想されている。さらに、景気対策で370万人の雇用が創出、または維持され、対策を実施しなかった場合に比べて失業率は1.8%下がるとの予想を示した。
大統領の経済政策顧問の見方なので評価が甘めかもしれないが、予測は米議会予算局(CBO)が、財政政策の効果に関する一般に受け入れられている調査研究に基づいて算出した推計の範囲内に収まっている。
景気対策にはかなりの景気浮揚効果があるだろうが、米経済の最近の急激な落ち込みぶりからすると、恐らくこの景気対策だけでは経済活動の落ち込みによる悪影響を完全に打ち消すことは難しい。だが、政府は不良資産救済プログラム(TARP、最近「金融安定化計画(FSP)」に改称)による支援策も講じている。
FRBと米財務省が共闘
TARPについては批判も多かったが、批判の内容はTARPによる明確な改善が金融市場に表れなかったことに対する失望感に過ぎない。筆者は、金融市況をこれ以上悪化させないためには有効な策だと考えている。
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1952年米クリーブランド(オハイオ州)生まれ。80年ペンシルベニア州立大学で経済学博士号を取得。ジョージワシントン大学非常勤講師、FRB(米連邦準備理事会)エコノミストなど経て、87年にアメリカ大和証券に転じ、チーフエコノミストとして米国の金融経済を中心に調査・分析を続けている。the Nikkei Financial Dailyで定期的に執筆するほか、様々なメディアにも登場している。








