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利下げから見える欧州中銀の苦悩

2009年3月12日(木)

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 「我々は非標準的手段を研究している」。ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁は、3月5日の記者会見でそう述べた。「非標準的手段」とは、FRB(米連邦準備理事会)、日本銀行、英イングランド銀行が既に開始している平常時の中央銀行は行わない金融政策のことで、「非伝統的」と表現されることもある。

 欧州経済の急速な悪化を受けて、ECBは同日の理事会で政策金利(主要リファイナンシング・オペ金利)を1.5%に引き下げた(3月11日より適用)。それにより、市場で成立するユーロのオーバーナイト金利は0.7%台前後で推移するとOIS(翌日物金利スワップ)市場では予想されている。

自由が利かないECB

 ECBのエコノミストは、2009年、2010年の実質成長率見通しを大幅に下方修正しているが、追加利下げの余地は実際のところかなり限られてきている。このためECBは新たな政策の方向性を模索せざるを得なくなっている。しかしながら、ECBには制度的に大胆な政策が行いにくい面がある。

 国債を大量に購入して量的緩和策を行うにしても、「加盟国のどの国の国債を買うのか」というルクセンブルク中央銀行総裁の言葉を、英国の経済紙、フィナンシャル・タイムズは1月26日付の記事で報じている。特に現在のように、財政の健全性によって加盟国の国債利回りに大きな開きがある状況は悩ましい。

 「ユーロ圏全体でまとめて国債を発行したらどうだろうか」というアイデアも聞かれるが、ドイツの財務大臣が既に反対している。「ユーロ圏統合国債」の場合、それは信用度が低い国のプレミアムも含むことになるため、ドイツ単独の国債に比べ利払い費が高くなるからだ。

 実際、3月10日時点の10年国債の利回りを見ると、ドイツは2.996%、フランスは3.619%だが、イタリアは4.481%、ギリシャは5.734%だ(ブルームバーグ)。

CPにも悩ましさが

 CP(コマーシャルペーパー)や社債の買い取りをECBが行って、欧州企業の資金繰りを助けようとする可能性は先行きあり得るだろう。ただし、この政策の場合も、他の中央銀行にはない複雑さが存在する。

 例えば、ユーロ圏において、大きなCP市場がある国もあれば、CP市場がほとんど存在しない国(イタリアなど)もある。欧州の大手企業はユーロ圏内でクロスボーダーに活動しているとはいえ、均等な政策を行いにくいという悩ましさがある。

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「利下げから見える欧州中銀の苦悩」の著者

加藤 出

加藤 出(かとう・いずる)

東短リサーチ社長

1965年生まれ。88年4月東京短資入社。2013年より現職。国内外の短期金融市場の現場の視線から金融政策を分析している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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