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「オバマ正直予算」が示す岐路

共和党との溝はむしろ深まるばかり

  • 安井 明彦

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2009年3月17日(火)

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 バラク・オバマ米大統領は、2月26日に2010年度の予算教書を発表した。今回の教書でオバマ政権が強調しているのは、その「正直さ」である。

 これまでの政権の中には、恣意的な前提に基づく予算教書を発表し、財政赤字を小さく見せようとするケースが少なくなかった。これに対してオバマ政権は、米国が直面する厳しい財政状況を正面から描き出し、責任ある対応を提案したと主張する。

見込まれる赤字は隠さずに織り込む

 ポイントは「ベースライン」と呼ばれる財政見通しの作り方にある。ベースラインとは、何も新しい政策変更を行わずに今のままの自然体で進んでいった場合に、政権が考える経済見通しの下で、将来の財政がどうなるかを見通した数字である。予算教書とは、このベースラインを基準にして、政権が提案する新しい政策が米国の財政をどのように変えていくかを示す文書と言ってもよい。

 オバマ政権の予算教書を例に取れば、ジョージ・W・ブッシュ前政権から引き継いだ政策をそのまま維持した場合には、2019年度の財政赤字額、すなわち、ベースラインの赤字額は約1兆ドルになる。これに対して、オバマ政権が提案した政策を実行すれば2019年度の財政赤字額は約7000億ドルになるというのが、今回の予算教書の軸である(図1)。

図1 2010年度予算教書における財政赤字見直し

 オバマ政権はベースラインの作成に関して、「現在の法律にかかわらず、発生する可能性が高い赤字はできるだけ織り込む」という姿勢を貫いている。例えば歳入では、一般に想定されている減税措置の延長が組み込まれた。具体的には、2001年以降に実施された一連のブッシュ減税(2010年末までの時限減税)や、AMT対策(2009年末までの時限措置)である。

 AMTとはAlternative Minimum Taxの略で、代替ミニマム税と呼ばれている。もともとの目的は富裕層の税逃れを阻止することだが、制度上の不備から本来の趣旨を逸脱し、中間層にも高税を課す税目になってしまっている。このため中間層への影響を緩和するための対策が毎年実施されており、今後の延長も当然視されている。

 また、歳出のベースラインにはイラクなどの海外における将来的な戦費が加算された。災害対策など、毎年発生する緊急事態対応の歳出についても、過去の経験を参考にはじき出した金額がベースラインに盛り込まれている。

 こうしたベースラインの作り方は、財政赤字の想定額を大きく膨らませる。例えば2010~19年度の10年間では、ブッシュ減税の延長によって2兆7000億ドル、戦費の加算によって1兆4000億ドルが上積みされることになる。

 ブッシュ政権のベースラインの作り方は、もっと恣意的だった。政権の重点項目であるブッシュ減税の延長はベースラインに織り込まれていた。だが、必ず発生するはずのAMT対策の延長やイラク戦費は見込んでいなかったのだ。このため、ブッシュ政権の予算教書を「解読」するには、新たな前提を置いて、ベースラインを試算し直す必要があった。今回の予算教書については、こうした努力を講ずる必要性はほとんど感じられない。

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