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ベトナムのIT、安いだけでいいのか

  • 豊島 信彦

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2009年3月24日(火)

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 「ベトナムは安いだけでよいのか?」

 オンライン・ニュースサイトのベトナム・ネットブリッジは、3月17日、「アウトソーシングはコスト安が武器にはならない」という見出しで、同国が力を入れているIT(情報技術)産業に厳しい注文をつけた。

 同サイトによると、ベトナムはソフトウエアのアウトソーシング先としては世界的にも最も安いコストを誇る国の1つながら、スキルや知識が不足しており、今のままでは繊維産業のように、低コストだけが支えで付加価値の乏しい産業と化す、という。

3000社のうち経営が成り立っているのは3分の1以下

■ 各国のソフトウエア産業の賃金比較

(年間、米ドル)

米国 63000
日本 44000
ロシア 7500
フィリピン 6500~10000
中国 5000~9000
インド 5000~8000
インドネシア 5000
ウクライナ 5000
ベトナム 1400~6000

資料: ベトナムソフトウエア協会 2005年
注: ウクライナは中堅のソフトウエア技術者

 実際、2002年に副首相を委員長にして設立された業界を代表する組織ベトナムソフトウエア協会(VINASA)によると、国内にソフト会社は3000社あるが、そのうちソフト事業だけで経営が成り立っているのは800~1000社にとどまるとしている。ネットブリッジでは、政府の戦略見直しが必要と結論づけた。同サイトは国営の大手メディアだけに政府内の意見を代弁していると見られる。今後、IT産業政策は軌道修正に向かう可能性が強い。

 ネットブリッジは「ベトナム人は若い人口が多く、働き者だということは世界でも知られているが、しかし、それだけでは正解の50%しか点を与えられない」とし、「この業界にはスキルと創造性が不可欠なのだ」と訴えている。確かに、アウトソーシングする企業側から見れば、効率性と質の高さが伴わなければ、人件費が安いだけでは仕事を頼みにくい。

 ソフトウエア協会のホームページに「ベトナムは26歳以下の人口が60%を占め、才能のある豊富な人材であふれ、賃金は安い」「この有利さゆえ、ベトナムはアウトソーシング先としては世界のナンバーワンだ」と記してある。

賃金は日本の30分の1以下

 ネットブリッジはこれを否定したわけだが、協会側の書き込みは2007年8月のやや古いものだ。その欄にはベトナム人技術者の賃金は最大で日本の30分の1であることが示されている。この年、同協会は今後5年以内に、世界のソフトウエア大国のトップ10にランクインするという目標も発表している。

ベトナムのIT産業

 同協会によると、ベトナムのソフト産業は2002年の8500万ドルから2007年の5億ドルに5年間で6倍近くに増えたが、2008年は20%増にとどまった。これにネットブリッジは「前年の伸びの半分であり、政府計画の35~40%増を下回った」と噛みついている。政府の長期計画のうち、インターネット普及率は昨年末で7.7%(加入者数670万)と、計画の8%に近いが、それでも世界のレベルからはかなり見劣りしインフラの弱さがうかがえる。

■ ベトナム政府「2010年までのICT(情報通信技術」開発戦略」の目標の抜粋

経済のあらゆるセクターでICTに注力、「e-ベトナム」を構築する。
ICT産業は年率20~25%の成長を図り、2010までに年間市場60億~70億ドルを達成する。
うち、ソフト産業は年率35~40%増を目指す。
インフラ整備のために、電話普及率を32~42%に引き上げる。
インターネット加入率を8~12%に引き上げてインターネットにアクセス可能な人口を25~35%とする。
全土に電話網を張り巡らせ、主要都市ではブロードバンドが使えるようにする。
すべての政府機関、大学、専門学校、高校はインターネットにアクセスできるようにする。
以上のために、海外からのODA(政府開発援助)や直接投資を活用する。
国家予算に1%をICT開発にあて、ベトナム全体では2010年までにGDP(国内総生産)の2%をICTに投資する。
ITを学ぶ学生には専門英語教育を実施、優秀な学生には海外留学制度を導入する。
海外の大手IT企業との提携を促進する。外資による研究所設立には特別奨励制度を設ける。

注:2005年10月時点

夢と消えた?世界のトップ10入り

 ネットブリッジが問題視しているのは、こうした政府のIT育成計画にかかわらず、国際的な評価が低い点で、アウトソーシング産業にとっては致命的とも言える。同サイトはまず、昨年12月、ITコンサルティング会社として世界的に知られる米ガートナーグループの英国部門が発表した年次リポートを取り上げている。

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