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悪い景気がもっと悪くなる?
金融監督のジレンマ

自己資本比率規制と時価会計の景気変動増幅効果

2009年4月17日(金)

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 (前回から読む)

 世界的な不況の引き金となった米国の住宅バブル。なぜ、米連邦準備理事会(FRB)はバブルを未然に防げなかったのか――。前回はこのことを発端に、そもそも、中央銀行の役割とは何かを考えました。

 その中で、資産バブルと関連の深い「金融システムの安定」については、中央銀行ではなく、政府による金融監督が担うべきとの考え方が出てきたことを述べましたが、一方で金融監督のツールである自己資本比率規制や時価会計が持つ“矛盾点”について指摘しました。今回は、これらの監督ツールが内包する問題点を具体的に見ていきます。

 まず、自己資本比率規制についてです。

金融規制の景気変動増幅効果

 景気が後退すると、融資先が倒産して貸出金が回収できなくなる信用リスクが上昇します。企業会計上、このような潜在的な損失に対して引当金を積み増す必要が生じます。この分は資産から控除されるので、純資産に相当する自己資本の減少につながります。

 自己資本比率規制では、銀行の健全性を担保するために、国際的に展開する銀行では自己資本は貸出残高の8%を確保する必要があります。このため、引当金の増加は自己資本の低下を通じて銀行の貸出余地の減少につながり、その結果、企業が利用できる資金量が縮小し、設備投資や在庫投資を中心に景気が一層後退します。

 このように、自己資本比率規制は、いったん景気後退が生ずると、景気を一層後退させる働きがあります。反対に、景気拡大に転ずると、一層景気を拡大させます。これが金融規制の景気変動増幅効果です。

「バーゼル II 」で景気増幅効果が拡大

 さらに、2007年に新しい自己資本比率規制(バーゼル II )が導入され、こうした景気変動増幅効果が一層大きくなりました。新規制では、自己資本比率の分母である計算上の資産残高は、景気循環で変動する貸倒リスク等を勘案するようになりました。

 具体的には、貸倒リスクに対応したリスクウエートを実際の貸出残高に乗じて計算上の資産残高を求めるのですが、景気循環に伴って変動する貸倒リスクに対応して、このリスクウエートも変化するようになったのです。景気拡大期には低下する貸倒リスクを反映して上記のリスクウエートが低下し、自己資本比率規制上の資産残高も減少するので、貸出拡大余地が生まれ、信用が拡大し、景気をさらに拡張します。

 このように、本来なら金融システムを安定させるはずの金融監督制度が一層景気変動を拡大させてしまうのです。これは、景気が好転すると、一層景気を拡張してバブルを膨張させ、一方、バブルが崩壊すると、その悪影響が一層ひどくなるというメカニズムを内包しているということです。こうした透明性のあるルールが金融システムの安定化に役立たないとすると、不透明で裁量的な金融監督行政に逆戻りしかねません。

 しかし、悲観するのは早過ぎるかもしれません。景気変動増幅効果を克服するための様々な検討が進められているからです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長