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オバマ税制、「格差是正」の副作用

超リッチ層への増税は「2%の幻想」との批判も

  • 安井 明彦

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2009年4月24日(金)

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 4月15日は、米国民に最も忌み嫌われる日の1つだと言われる。所得税の確定申告の締切日だからである。米国では基本的にすべての納税者が確定申告を行わなければならない。ようやく本格化してきた春の日差しに背を向けて、とても快適とは言えない確定申告書の作成に追い込みをかけるのが米国民の年中行事となっている。

財務長官でさえ独力で仕上げられない確定申告書

 米国民が確定申告を苦痛に感じる大きな理由は、税制の複雑化にある。日本の国税庁に相当する米内国歳入庁(IRS)の調べによれば、2001年から現在までに米国の税制には3250カ所以上の修正が加えられている。使われている単語数も、1975年から2005年の30年間で3倍以上に膨れ上がったという。

 米国の確定申告がどこまで面倒なのか。その一端が垣間見られるのが、ホワイトハウスのホームページに掲載された、大統領夫妻と副大統領夫妻の確定申告書である。

 ご覧いただければお分かりのように、大統領夫妻の場合、基本的な連邦所得税の申告書であるフォーム1040だけで掲載資料は43ページに達している。興味深い情報ではあるが最後まで読み解くのは一苦労。まして書き上げる側の立場を想像すると気が遠くなる。

バラク・オバマ夫妻の確定申告書

 ここまで税制が複雑になると、一般の国民が自力で確定申告書を仕上げるのは至難の業である。このため、納税者の60%は税理士などの有料サービスの助けを借り、22%は市販の支援ソフトウエアを使っている。大統領・副大統領夫妻も例外ではない。申告書2ページ目の最下段には、申告書の作成に当たった税理士事務所の名前がしっかり記載されている。

 また、ティモシー・ガイトナー財務長官は、指名承認に当たって過去に誤った確定申告を行っていた経歴が問題視されたが、その際には、有名な支援ソフトウエアのお世話になっていたことが明らかになっている。税を集める政府の長である大統領はおろか、所轄官庁である財務省の長官ですら、独力では申告書を仕上げられないのが現実である。

オバマ政権が税制の複雑化に拍車かける?

 税制の複雑化は、バラク・オバマ政権下でも進みそうだ。オバマ政権は税制を「政策目的の実現手段」として捉える傾向が強いからである。

 税制には大別して2つの役割がある。第1は、政府を運営するための歳入の確保であり、第2は、教育費用や退職後に備えた貯蓄の支援など、特定の政策目的の実現である。

 このうち、後者の政策目的の実現を目指した税制改革は、様々な控除を新設したり優遇税制の受給資格に所得要件を設けたりして、税制を複雑化させやすい。実際に、最近の米国税制の複雑化は、「大きな政府」批判を嫌った政治家が政策目的の実現手段として補助金よりも税制を好むようになった点に一因があると言われる。同じ政策目的を目指すにしても、税制を利用すれば「減税」だと主張できるからだ。

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