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巨額の財政出動、分かれる評価

【特別編】ケインズ主義は復活したのか?

2009年4月30日(木)

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 今月初めにロンドンで行われた20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)では、各国の財政出動が重要であることを、首脳レベルで改めて合意。各国の証券市場に好材料として受け止められました。わが国でも、15兆円もの大規模な財政出動を伴う経済危機対策が決定され、国会に提出されました。

 欧米のエコノミストの間では、景気対策に財政政策を使うことは避けるべきであるというコンセンサスがありました。今回の金融通貨危機に際し、各国においてオピニオンに大きな変化があり、一度死んだはずのケインズ主義が復活したとする意見も聞かれます。本当のところは、どうなのでしょうか?

70年代以降「死んだ」と言われたケインズ

 ケインズ主義、ケインズ学派が何を示すのかは、実は議論が分かれるところなのですが、ここでは筆者の独断で、不況の時には財政支出の拡大や減税、政策金利の引き下げ(総需要管理政策)が、景気の回復に役立つとする考え方であるとします。

 これは、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズ(John Maynard Keynes)が、『雇用、利子および貨幣の一般理論』を1936 年に出版して以来、経済学、経済政策に大きな影響を与えてきた考え方です。大恐慌に対する経済政策の指導原理として広い影響を持ったとされています。

 ケインズ経済学は、第2次世界大戦後、60年代までマクロ経済学の主流として受け入れられていました。すなわち、マクロ経済変動(特に不完全雇用問題)についてはケインズ経済学を利用し、そのほかの経済現象については、それまでの新古典派的分析手法(ミクロ経済学的手法)を用いるという考え方で、ポール・サミュエルソンを代表とする新古典派総合(the neoclassical synthesis)が主流となりました。

 しかし、70年代の経済の停滞とインフレが両方発生するスタグフレーションの発生後、財政支出の拡張と金融の緩和は物価の高騰だけを招いたと厳しく批判されました。また、学会においても、ミクロ経済学的な基礎づけがないことなどから、既に60年代から見直しが進んでいました。

 70年代以降は、合理的期待仮説などに基づき、総需要管理政策の有効性を否定するマクロ経済学(特に実物的景気循環論)が台頭しました。「ケインズは死んだ」という厳しい評価も聞かれました。

ニューケインジアン、そして新新古典派総合へ

 ケインズ経済学への批判を受けて発展してきたのがニューケインジアンと呼ばれる学派で、ケインズ経済学へのミクロ経済学的な基礎づけを行いました。

 そして、最近のマクロ経済学の学会における大まかなコンセンサスは、新新古典派総合(the new neoclassical synthesis)(注1)と呼ばれるもので、実物的景気循環論の動学的確率的一般均衡モデル(the dynamic stochastic general equilibrium model)という分析道具とニューケインジアンの物価・賃金の硬直性を組み合わせて、現実の経済の動きを説明しようとする考え方です。

(注1) M. Goodfriend, R. G. King (1997) "The New Neoclassical Synthesis and the Role of Monetary Policy", WP 98-05, Working Paper Series, Federal Reserve Bank of Richmond.

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