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“日本ブランド”を高める公共事業とは

建築家・隈研吾氏と「バブル」と「公共投資」について議論する(下)

  • 竹森 俊平

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2009年5月21日(木)

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(隈氏との対談シリーズ後編では、隈氏が見た、経済危機後の中国の建築事情から話を始めます。前編はこちらです)

竹森 中国のいいところは2つあります。1つは日本でケインズ政策というと、ムダな橋や道路を作らなければいけないという印象があるのですが、中国はムダではない道路や橋を作る余地がまだいくらでもあることです。非常に大きな投資を必要とする、内陸部と沿岸部の差を解消するといったことを、今やろうと思えば実行できます。

 もう1つは、一党独裁ということです。自分のパワーベースである財政を大事にしてきたために、それほど財政赤字はなく、しかも公共事業をやると決めたら、すぐに実施できるので効果もすぐに出る。おっしゃるように今後中国は面白くなるかもしれません。

 そうですね。中国で建築の仕事をする中で、僕が根本的に違うなと思ったのは、資本主義だと言っても、個人が普通に土地を買って家を建てることはできないということです。業者が建て売りの開発をしたり、マンションを建てて売ったりすることはできますが、個人が土地を買って、自分の好きな家を建てるという、アメリカ型の持ち家政策の基本が、いまだに中国ではできません。今後はこの不自由が彼らにとってのアドバンテージになり得るかもしれないと思いました。建て売り型とマンションに限定したことによって、供給のコントロールができているのは、中国システムだけかもしれません。

(写真:大槻純一、以下同)

隈 研吾(くま・けんご)

1954年生まれ。79年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所設立。現在、東京大学教授。主な作品に「亀老山展望台」(公共建築賞優秀賞、「JCDデザイン賞'95」文化・公共施設部門最優秀賞受賞)、「森舞台/宮城県登米町伝統芸能伝承館」(日本建築学会賞受賞)、「馬頭町広重美術館」(村野藤吾賞、林野庁長官賞受賞)、「サントリー東京新社屋」「長崎県立美術館」「サントリー美術館」「ティファニー銀座」。著書に『反オブジェクト』(筑摩書房)『新・建築入門』(ちくま新書)『負ける建築』(岩波書店)『新・都市論TOKYO』(集英社新書)『自然な建築』(岩波新書)など。


 実はこれはとんでもなくひどいシステムだなと、少し前までは思っていたんです。僕らの感覚でいうと、建売業者とか、マンション業者というのは、それこそ資本主義の手先みたいなもので、そういった業者を全部野放しにしておく一方で、個人が土地を買って家を建てることを禁止しているのは、逆転しているような気がしていました。

 ただ、今の状況を見ていると、これは非常にクレバーなシステムだと思います。そこまで分かってやっているのだとしたら、中国の指導者はすごいと思います。

“築地市場”となったウォールストリート

竹森 前編で、日本のバブルの時に、海外のコピーのような建物ばかりを建てたことが失敗だったという話が出ましたが、この話を聞いて思ったことがあります。

 今回のサブプライム問題については、アジア新興国のカネ余りが背景にあったと言われています。アジアはどんどん成長するからカネは入ってきます。カネの一部は国内のバブルに向かいますが、それ以外の国内投資には向かわず、ウォールストリートに向かいました。

 例えば、1996年ぐらいまでは日本から韓国に投資するというと、銀行が現地に出ていって、向こうで審査し、一つひとつの案件について、貸すか貸さないかを決めていました。ところが1997年の通貨危機で懲りてしまい、今日本の銀行は余った資金をウォールストリートに回し、証券会社に委託して、ウォールストリートの証券会社が韓国に投資をする。このような方法を取っています。築地市場に全国の魚が向かうように、お金というと、全世界のお金が全部、ウォールストリートに回ることになったんです。

 なぜこれだけカネを稼いでいるのに、消費にしろ投資にしろ自前で使わないのか。アジアは自分たちの欲望のために生産しているのではなく、欧米のマーケットのために生産をしている。消費ブームがアジアで起こるとしても、それは欧米の消費ブームのコピーを導入する形でしか起こらない。これには何か根本的な理由があるのではないかと思えます。

 もともと自分に必要なものだけ作っていれば、こんなに輸出超過が続き、海外への貯蓄が増えることにはならない。でも、アジアはずっとそれを続けている。日本も70年代から同じように言われて、まだずっと続けている。何かそこは宿命的なものを感じました。

 サブプライム問題が起きた後、ウォールストリート依存がさらに強まったということですか。

竹森 サブプライム問題の前ですね。1997年から2007年の10年間です。

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