「The U.S. Economy(ハンカー・オジヤサール)」

この株価回復ではまだ安心できない

バックナンバー

2009年5月26日(火)

1/2ページ

印刷ページ

 3カ月前、投資家は過度に悲観的で、まるで世界が崩壊するかのように考えていた。しかし実際には崩壊することはなく、株も債券も反騰した。すると今度は楽観的な雰囲気が蔓延し、金融機関は事業収益で現在抱えている問題を乗り切り、今年後半には景気後退から脱するとの観測が広がった。

 だが、これも早まった判断かもしれず、最近上昇していた相場は反落し、より現実的な水準に落ち着く結果となっても全く不思議ではない。

 現在、米国経済は良好な状態にあるとは言い難い。失業率は急上昇、ビッグスリー(米自動車大手3社)の一角であるクライスラーが経営破綻し、別の1社であるGM(ゼネラル・モーターズ)にも破綻の危機が迫っている。さらに、米国の財政赤字は急激に拡大している。

 こうした悪条件にありながら、投資家はかなりの利益を得ている。市場が下がり過ぎていたのと、政府の支援策が実施されたことが、相場好転につながったからだ。

ストレステストや実体経済の実情に疑念

 だが、この相場も終わりに近づいているようにも見える。投資家が、政府による金融機関への「ストレステスト(財務健全性を審査する資産査定)」や実体経済の実情に対し、疑念を持ち始めているからだ。

 金融市場の歴史上、類のない大幅な下落局面を経て、米国の株式市場は前回の記事以降さらに上昇が続いていた。主要株価指数は9週連続で上昇し、ダウ平均は25%以上値上がりした。同時期に金融株は2倍以上に高騰。工業株の上昇率も50%を上回った。

 ジャンク債は過去最高の急反発を見せ、最もリスクの高い部類であるCCC(トリプルC)以下の格付けの債券は40%近く上昇し、BB(ダブルB)格付けの銘柄も約14%上昇した。

 相場上昇にはいくつかの要素が影響していた。だが、現在、その要素いずれに対しても、その評価の妥当性に疑問の声が上がっている。以下、それぞれ個別に検証する。

株価は割安だったのか

 1つ目の要素はまず、この上昇基調が始まった頃、株価が極めて割安に感じられたことだ。

 だがこれは、もはやそれほどではない。S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)500種株価指数のPER(株価収益率)は約16倍と、現在でも過去の平均よりは低いが、新興国市場の方が価格変動のリスクも少なく、かなり割安感がある。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



バックナンバー>>一覧

関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント1 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

Hunkar Ozyasar(ハンカー・オジヤサール)

ハンカー・オジヤサール

トルコ生まれ。ビルケント大学(トルコ・アンカラ)卒業、米ノースウエスタン大学ケロッグスクールにてMBA(経営学修士)取得。米ユニリーバでブランドマネージャーとして消費者向け製品開発に携わり、その後、ドイツ銀行でグローバル債券ストラテジストとして勤務。現在は、米ウォールストリートジャーナルや英フィナンシャルタイムズなどで執筆活動をしている。著書に『When Time Management Falls』(BookSurge Publishing)



このコラムについて

The U.S. Economy(ハンカー・オジヤサール)

現地で活躍するエコノミスト、マーケットに精通する関係者が、米国の最新経済情勢を専門家の視点で分析します。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン