3カ月前、投資家は過度に悲観的で、まるで世界が崩壊するかのように考えていた。しかし実際には崩壊することはなく、株も債券も反騰した。すると今度は楽観的な雰囲気が蔓延し、金融機関は事業収益で現在抱えている問題を乗り切り、今年後半には景気後退から脱するとの観測が広がった。
だが、これも早まった判断かもしれず、最近上昇していた相場は反落し、より現実的な水準に落ち着く結果となっても全く不思議ではない。
現在、米国経済は良好な状態にあるとは言い難い。失業率は急上昇、ビッグスリー(米自動車大手3社)の一角であるクライスラーが経営破綻し、別の1社であるGM(ゼネラル・モーターズ)にも破綻の危機が迫っている。さらに、米国の財政赤字は急激に拡大している。
こうした悪条件にありながら、投資家はかなりの利益を得ている。市場が下がり過ぎていたのと、政府の支援策が実施されたことが、相場好転につながったからだ。
ストレステストや実体経済の実情に疑念
だが、この相場も終わりに近づいているようにも見える。投資家が、政府による金融機関への「ストレステスト(財務健全性を審査する資産査定)」や実体経済の実情に対し、疑念を持ち始めているからだ。
金融市場の歴史上、類のない大幅な下落局面を経て、米国の株式市場は前回の記事以降さらに上昇が続いていた。主要株価指数は9週連続で上昇し、ダウ平均は25%以上値上がりした。同時期に金融株は2倍以上に高騰。工業株の上昇率も50%を上回った。
ジャンク債は過去最高の急反発を見せ、最もリスクの高い部類であるCCC(トリプルC)以下の格付けの債券は40%近く上昇し、BB(ダブルB)格付けの銘柄も約14%上昇した。
相場上昇にはいくつかの要素が影響していた。だが、現在、その要素いずれに対しても、その評価の妥当性に疑問の声が上がっている。以下、それぞれ個別に検証する。
株価は割安だったのか
1つ目の要素はまず、この上昇基調が始まった頃、株価が極めて割安に感じられたことだ。
だがこれは、もはやそれほどではない。S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)500種株価指数のPER(株価収益率)は約16倍と、現在でも過去の平均よりは低いが、新興国市場の方が価格変動のリスクも少なく、かなり割安感がある。
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