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民主党は単独過半数を目指すべき

ジェラルド・カーティス氏と「政治という日本の弱点」を議論する(中)

  • 竹森 俊平

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2009年7月9日(木)

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竹森 私が、政権交代が必要だと考えるもう1つの理由があります。それは、これから日本がどういう方向に行くか、それについて2つの考え方があると思うんですが、そのどちらの考え方を選ぶかを有権者が投票で決めるしかないということです。

 具体的に言うと、1つの考え方は、日本をヨーロッパ型の福祉国家にすること、もう1つの考え方は、アメリカ型の福祉について軽装備の政府にすることです。高齢化がどんどん進んでいく時代に既に入ったわけですが、高齢者の福祉をどれだけ政府がカバーするのか。より充実したセーフティーネットを作るのか。これについての重要な選択があります。

足を引っ張るのはすべて厚労省関連の問題

 この対談シリーズでいろいろな方と話をしました。小泉さんは良いこともやったけれど、ただ、5年間で1兆1000億円、毎年2200億円ずつ医療費を削減したことは間違いだったという意見が出ました。これは病院の先生です(「『車がダメなら次は医療』の間違い」「医療にも“ビジネスクラス”の導入を」の河北博文氏)。

 現在は何と言っても、経済危機の生活への影響が大きいから経済危機が政治の争点になっています。これは自民党にとっては痛手でしょう。しかし、仮に経済危機が起こらなかったとしても、やっぱり自民党は選挙で負ける可能性が高かったと思います。

 では、何が自民党の足を引っ張っているのかと考えると、それは要するに全部、厚生労働省関係の問題なんです。年金の問題にしても、医療の問題にしても、厚生労働省の管轄下の問題です。日本は高齢化している、だからものすごくお金が必要になる。それをどうするか、ばっさり削ることができるのか。政府のほかのムダと同じように、医療、年金の支出を大ナタを振るって削ることができるのか。

 もちろん、ばっさり削るべきだという考え方はあり得ます。しかし他方では、もっと手厚い手当てをするべきだという考え方もあり得る。この点で、両党間の対立軸ができると思います。私は高齢化の問題に真正面から取り組まなかったのは、小泉さんの失点だと思っています。それが今、自民党人気の低落につながっているのではないでしょうか。

カーティス 日本の国民がわがままだと思うのは、ヨーロッパ型の福祉国家とアメリカ並みの税負担、この両方を求めていること。そのギャップが予算赤字なんです。どっちかを選ばないといけない。

 税の負担を少なくしようと思えば、アメリカのように5000万人の健康保険のない社会を取りなさいと言いたくなる。それがいいと思う日本人はいないでしょう。僕から見れば素晴らしい国民皆保険制度を維持することは、税金を上げてもやるべきことだと思いますが、いずれ安い税金と高い福祉はあり得ないので、日本の政治家が正直に厳しい選択をしなければならないということを国民に訴えればいいと思います。上手に話せば日本の国民は納得すると思う。

国民を説得するのに大事なのは正直であること

カーティス 政治のリーダーとして一番大事なキーワードは説得力です。オバマさんが素晴らしいと思うのは、国民を納得させ、説得する努力をすることです。説得するために大事なのは、正直であること。勇気を出して言うべきことを言う、ごまかさない、ぶれない。オバマさんはどんなに今のアメリカの現状が厳しいかを話す。これから経済が少しずつ上向いても、失業率は年末までにもっと上がると言う。オバマ政権で9.5%ぐらいになると推測していますが、2ケタになる可能性は大きいと思います。

 アメリカで面白い世論調査がありました。来年の今頃自分か自分の家族の誰かが職を失う心配はあるか、不安はあるかと聞いたら70%がそういう不安があると言う。ところが、今のアメリカは良い方向にいっているのか、悪い方向にいっているのかという質問に対しては、良い方向にいっていると言う人が、オバマさんが就任した時の3倍になっている。

 アメリカ人は、現状は悪くなるけれども、良い方向にいっていると思っている。これは、オバマさんに対しての希望、期待、安心感の表れです。オバマさんは説得力のある言葉で話している。それが本物のリーダーなんです。

(写真:村田和聡、以下同)

ジェラルド・カーティス(Gerald L. Curtis)

コロンビア大学政治学教授。日本の政治研究の第一人者。1940年米ニューヨーク生まれ。62年米ニューメキシコ州立大学卒業、69年米コロンビア大学大学院政治学博士課程修了。76年から現職。早稲田大学客員教授。67年に博士論文の執筆のため来日、第31回衆院選挙で大分2区から出馬した自由民主党の佐藤文生(故人)候補に密着。この博士論文を基に、71年に『代議士の誕生』を出版した。三極委員会委員、米外交問題評議会委員、米日財団理事。大平正芳記念賞、中日新聞特別功労賞、国際交流基金賞を受賞、旭日重光章を受章。主な著書に『日本型政治の本質』『日本政治をどう見るか』『永田町政治の興亡』『政治と秋刀魚』など。今秋、絶版になっていた『代議士の誕生』が日経BPクラシックスの1冊として新訳で刊行される予定。


竹森 そういう国民への語りかけというものが本当にないですよね、日本の場合。

カーティス 日本のリーダーの中に、議会でしゃべる時、官僚が書いたメモをそのまま、頭も上げないで読む人がまだいる。要するに努力をしないということです。官僚に書いてもらうのはいいですよ。ただ、国会でしゃべる前に、一生懸命それを読んで暗記して消化し、自分の言葉でテレビカメラを見て、国民に目を向けてしゃべることが、どの国の政治家だって必要なのです。

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