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「ドル基軸論議」を静観する欧州の内情

2009年7月16日(木)

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 通貨制度を巡る議論が活発化している。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の各国は先月開催した首脳会議で、「通貨制度の多様性拡大が必要」との見解を打ち出した。

 中国とロシアは、それ以前から、ドル基軸通貨体制に対する牽制球を投げ始めており、3月には、中国人民銀行の周小川総裁が、「SDR」をドルに代わる新たな基軸通貨とする可能性に言及。大きな関心を集めたことは記憶に新しい。

(注)SDRとは、Special Drawing Rightsの略で、国際通貨基金(IMF)の準備資産として創設された特別引き出し権のこと

欧州当局が「通貨制度改革論議」を静観する訳

 「米vs.中国+ロシア」の構図でグローバルな通貨体制論が展開される一方で、通貨ブロック強化のローカルな動きも散見される。アジアでは「アジア版IMF」とも言うべき「アジア通貨基金(AMF)構想」が改めて浮上し、死語になりかけたACU(アジア通貨単位)も再度口端に上り始めた。

 また、湾岸協力会議(GCC)のうち、サウジアラビア、クウェートなどの4カ国は、将来の単一通貨発行を目指す通貨統合協定を結び、中央銀行をサウジアラビアの首都リヤドに設置することなどを決めている。

 通貨制度を巡って様々な思惑のボールが飛び交う中で、欧州だけが音なしの構えにあるのはなぜだろうか。

 後述する通り、欧州当局はユーロ発足から丸10年が経過し、ユーロがドルに次ぐ第2の国際通貨として定着したことに自信を深めている。その一方で、ラトビア問題に象徴される金融不安の火種がくすぶり続け、その対応などに手いっぱいの状態でもある。

 欧州の沈黙は、制度論議に積極参加する必要性も、あるいは、その余裕もない、という欧州の実情を、むしろ雄弁に語っているように見受けられる。

ユーロ発足10年で広域欧州の「共通通貨」に

 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は、ユーロ10周年を祝う今年1月の欧州議会の記念式典で、「ユーロ創設は大成功を収めた」と力説した。こうした当局の自己診断を引き合いに出すまでもなく、ユーロはこの10年で、ドルに次ぐ「第2の国際通貨」としての地位を確立した、と判断して差し支えなさそうだ。

一般に、「国際通貨」の定義は以下の3点とされる

 (1) 交換手段(=為替出来高)
 (2) 計算単位(=貿易の建値通貨)
 (3) 価値保蔵(=資産運用の対象通貨)

 例えば(1)の為替出来高について。これが劇的に増加したという状況では必ずしもないが、ドルに次ぐ2位の地位は盤石である。

外国為替市場 通貨別取引高(シェア、%)
各調査年4月の1日当たりの取引高

  米ドル ユーロ 英ポンド
1992 82.0 39.6 23.4 13.6
1995 83.3 36.1 24.1 9.4
1998 87.3 30.1 20.2 11.0
2001 90.3 37.6 22.7 13.2
2004 88.7 37.2 20.3 16.9
2007 86.3 37.0 16.5 15.0
注:取引には2通貨を伴うため、シェアの合計は200%。1999年以前の「ユーロ」は独マルク
Source: BIS Triennial Central Bank Survey 2007.

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「「ドル基軸論議」を静観する欧州の内情」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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