「「インサイター」になろう!〜会社がわかる、社会がかわる〜」

会社に要求を突きつける活動は“アクティブ”ならず

バックナンバー

2009年7月13日(月)

1/2ページ

印刷ページ

 巨額な資金を背に、投資先企業に要求を突きつける。それがファンドであり、ファンドマネジャーの仕事である。こんな“誤解”をしている人も少なくないかもしれません。しかし、そんなのは特異なタイプです。

 ファンドマネジャーの第一歩は、企業を理解することから始まります。単に財務データなどの情報を集めて、企業を知るのではなく、経営者、従業員、文化などを深く理解しなければなりません。決して企業と敵対する存在ではないのです。

IR担当者とどうかかわるか

 私は、長年のファンドマネジャーの経験から、この企業を理解するためのステップが投資行為には必要不可欠であると考えています。この手順を踏まない投資行為はあり得ません。企業への理解が深まれば、事業活動を推察できるようになります。この結果、成果の向上かつリスクの回避につながります。

 今回は、「本来の」ファンドマネジャーが、企業の窓口となるIR(投資家向け広報)担当者とどのようなコミュニケーションを取っているのか、その一端を紹介します。どんな視点でどのような議論を交わしているかを知っていただくことで、「インサイター」(造語:洞察力を持つ人)に通ずるヒントを提供できると思うからです。

 さて、IR担当者との出会いは、いつも刺激的です。財務の健全性や商品の競争力といった話も当然しますが、私がよく話題にしているのは「中期経営計画の意味」です。また、将来の夢や希望といった話もします。それは、この会社と長く添い遂げられるかを見極めるためです。

 特に楽しいのが、企業の歴史や伝統について議論している時間です。こうした対話を通じて、財務分析による判断とは異なるオリジナリテイーに富んだ企業価値観が得られるからです。

 だから、社史に詳しいIR担当者は重宝します。会社の創業から、創業者の理念、そして何年に1回は起こるアクシデント、そしてその処理方法。こういった企業の歴史を学ぶことが、すなわち企業価値に接近する手だてです。

 人も会社も事故を経験して、育っていく過程がありありと分かり、いつの間にかその会社の社是として生きていることも多く見られます。幾つかの企業では、クレド(信条)という形でそうした教訓を残しています。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント0件受付中
トラックバック
著者プロフィール

吉野 永之助(よしの・えいのすけ)

コモンズ投信取締役運用担当者。勧角証券入社、朝日投信に異動後、20年にわたり株式・公社債投信を運用。その後、米大手運用会社キャピタルグループ入社。アナリスト、ファンドマネジャーを経て、日本法人であるキャピタルインターナショナル代表に就任。2008年7月から現職。



このコラムについて

「インサイター」になろう!〜会社がわかる、社会がかわる〜

「100年に1度」の世界同時不況を引き起こした金融不安。短期的な利益の最大化を追求する資本主義の限界が露呈した格好となった。では、これからの資本主義のあり方とは何か? その礎となる企業と株主の関係作りを考えていく。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内