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「出口政策」は言ってはいけない

中原伸之氏と「原油価格」と「新自由主義の終焉」を議論する(下)

  • 竹森 俊平

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2009年7月16日(木)

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前編から読む)

竹森 ストレステストの話をしたいと思います。国際通貨基金(IMF)が出した4月のリポートでは、アメリカの金融機関の損失は約280兆円、世界全体では410兆円くらいの損失があるという推計結果でした。資本不足については、レバレッジを25倍に戻すのに、アメリカは275ビリオンダラー、100円で計算して27兆5000億円ぐらい必要であるという数字が出ていました。ところが、ストレステストでは、資本不足が7兆5000億円で済むという結果です。

 金融機関別の内訳を見ると、ほとんどバンク・オブ・アメリカですね。バンク・オブ・アメリカが、100円で計算すると3兆3900億円ぐらい。これにウェルズ・ファーゴとGMACを入れると、だいたいもうそれで済んでしまう。7兆円と27兆円ではやっぱり3分の1ぐらいの差です。IMFがものすごく厳しい見方をしているとも思えません。ずっとIMFは甘めでしたから。これはちょっと何か変だなという印象です。

中原 私に言わせれば、おそらく机上の空論でしょう。私は、2002年の3月に日銀を辞めて、同じ年の10月から1カ月間、金融庁の竹中平蔵金融・経済財政政策担当大臣(当時)のいわゆる金融再生チーム(「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」)の5人のメンバーの1人に任命されました。小泉純一郎総理(当時)の強い要望によりメンバーとなった次第です。

(写真:菅野勝男、以下同)

中原 伸之(なかはら・のぶゆき)

景気循環学会会長。1934年東京都生まれ。57年東京大学経済学部卒業。59年ハーバード大学大学院修士課程修了(M.A.)。同年東亜燃料工業(現・東燃ゼネラル石油)入社。74年常務取締役を経て86年代表取締役社長。94年同社名誉会長。98年4月~2002年3月まで日本銀行政策委員会審議委員。2002年10月から2005年5月まで金融庁顧問として「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」の金融再生プログラム作成に携わる。1998年藍綬褒章受章。主な著書に『日銀はだれのものか』ほか。



 このチームの第1回の会合で、私は、2つのことを申し上げました。1つは、日本経済は遅くとも2004年末までには回復すると予想しているので、今は不良債権を処理する絶好の機会だし最後の機会である。

 2つ目は、不良債権の処理に当たっては、経済学的な方法で不良債権の金額を査定しなければいけないと。2回目の会合では、時価(mark to market)あるいは現在価値を使い不良債権額の査定をしなければならないと主張しました。

 今回のアメリカは経済がいつまでに回復するかほとんどメドが立っていないということも問題ですが、不良資産の査定を時価法を用いず、かつ、個別の不良債権査定を行わず、マクロ経済の予想値を計算して一定の前提を置いて査定していることが大きな問題です。不良債権全体の規模がどこまで広がっているか、特にオフバランスの不良資産の規模をどこまで査定しているか疑わしいです。

 結論的に申し上げると、不良債権問題が解決したと思っても、新たな不良債権が次々に発生してしまい、それに対処する。結局アメリカの不良債権の規模が特定できない限り最終的な解決にはならないでしょう。私はその可能性がかなり高いと思います。

 アメリカは、本気で不良債権を処理するのであれば、繰り返すようですが、時価または現在価値を用いて規模の把握に努めるべきです。

アメリカはその場しのぎしかできない

竹森 アメリカは、今回早めに増資や損切りをやってきたと思うのですが、ここへきて日本と同じで先送りペースに入ったように思えます。

 こういうことをやると、かえって問題を解決するのに時間がかかると思います。ストレステストで7兆円足りないという結果が出ると、すぐ、12兆円ぐらい株の申し込みがあった。これで大丈夫だとみんな喜んでいるようですが、私はそれでうまくいく可能性は、ゼロとは言いませんがあまりないと考えます。

 また損が出て、やっぱりこれでは全然足りませんでしたとなると、経済政策に対する信頼を失うようなことになると思います。

中原 私はその可能性が一番高いと思います。

竹森 70兆円用意したポールソン・プランのお金が、もう10兆円しか残ってない。10兆円で足りるわけがないんです。IMFが推計した280兆円という損失額を考えても、あと10兆円で解決ができるわけがない。何とか10兆円で当座は乗り切ろうという考えなんでしょうが、そんな考えでは、かつての日本と同じ轍を踏むことになると思います。

中原 そうですね。アメリカが本当にやるんだったら、時価法でやらなきゃいけないんだけれども、なかなか難しいでしょうね。だから、しばらくそういう一時的なその場しのぎしかできないんじゃないかな。

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