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「竹中氏は日本経済の恩人である」

竹中平蔵氏に「失われた10年」の真実と「不良債権処理」の極意について聞く(上)

  • 竹森 俊平

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2009年7月22日(水)

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 今回の対談の場合、今更読者に竹中平蔵さんを紹介する必要は全くあるまい。そこで筆者と竹中さんとのこれまでのかかわりについて述べさせていただく。個人的なかかわりはこれまでのところ少ない。

 昨年1回、竹中さんの主催する慶応大学の学内のワークショップに呼んでいただき、現在の経済危機についてのセミナーをさせていただいたことがあるだけである。したがって、竹中さんと長時間対談するのは今度が2回目ということになる。

竹中氏にかんする印象深いできごと

 それ以外のかかわりということでは、1つ思い出に残ることがある。それは昨年の夏頃だったか、ある総合雑誌が現下の経済危機をめぐっての「大座談会」を催した時のことである。3時間に及ぶ長い座談会が終わり、出席者一同がタクシーを待っている時だった。私の隣に竹中さんと大変親しい方がおられたので、何げなく、「最近は竹中さんの人気はどうですか」と聞いてみたところ、「悪いんじゃないでしょうか。外資銀行と親しいと見られているから」というのがその方の答えだった。

 そこで筆者は思わず、「え、それはおかしい。今の日本経済の唯一の救いは銀行問題がないことです。竹中さんはその問題の解決に貢献したんだから、恩人というべきじゃないでしょうか」と叫んだのである。するとそれを総合雑誌の編集者が耳聡く聞きつけ、「あ、そのコメント面白い。座談会に載せましょう」ということになった。それで、「竹中氏は日本経済の恩人」というコメントが掲載されることになったという次第である。

 このことが筆者にとり印象深いのは、記憶の限り、筆者が竹中さんを活字媒体で褒めたのはこれまででこれ一度限りだからである(ひとこと言い添えると、いわゆる「竹中バッシング」に当たるコメントを筆者が活字媒体に載せたことも、記憶の限りでは一度もない)。

 だからといって、筆者がこれまで竹中さんの立場に反対だったというわけではない。かつて出版した『経済論戦は甦る』という著書は、反小泉、反竹中のマニフェストと世の中では受け取られたが、実際にその本をお読みいただけば分かるように、筆者が反発しているのは、不況の最中に緊縮政策を取ることを匂わせるような「構造改革」という言葉に対してであった。その頃は「構造改革」とは、何のことはない、「上げ潮路線」を意味するなどということは想像もつかなかったのである。

 「竹中氏は日本経済の恩人」という筆者のコメントを見られた方は多かったようで、その後、銀行の関係者などから、「いや、不良債権問題はわれわれが解決したんですよ」といった反応を数多くいただいた。それでも、筆者はあのコメントは正当だったと現在でも思っている。この点については対談の中で詳しく触れる。

2003年の銀行問題の“真実”

 同じ大学にいるよしみということもあるのだろうが、今回、筆者との対談を承諾していただいたのは、実にありがたいことだと思っている。じっくりお会いする機会があったら、ぜひ、聞いてみたいと思っていたことが山ほどあるからである。

 第一には、2002年以降の金融問題との竹中さんの取り組み、とくに2003年春のりそな銀行の処理についてどういう作戦をお持ちだったかということである。あの当時、銀行のバランスシートの検査を強化するという発表がなされ、それに呼応して主要銀行は2兆円の増資をするという決定を下していた。

 順調な展開と言いたいところだが、増資にいくらか無理があったのか、2003年の初めに銀行株を中心に株式市場が大崩れする。それがゴールデンウィークの頃に持ち直して、結局、増資も成功となり、銀行問題は解決に向けて大きく進展することになったのである。

 あの展開は一体何だったのか。なぜ、ゴールデンウィークに株が持ち直したのか。当時行われていた為替介入や日銀の量的緩和との連携が功を奏したのか。こうした点を以前からお伺いしたいと思っていたのだが、対談では予想外の、興味深い事実を竹中さんから聞くことができた。

 対談のもう1つの焦点は、現在、アメリカのオバマ政権が実行している金融システムに対する政策の評価、とくに主要行のバランスシートに関するストレステストについての竹中さんの評価である。以前から筆者には、アメリカのやり方が極めて頼りないものに映り、この点について、資産の厳正な評価を「金融再生プログラム」の柱とされた竹中さんがどうお考えかを聞きたかったのだ。予想通り、竹中さんは極めて透徹した読みをこの問題についてされている。そこの部分はおそらく読み応えがあると思う。

勝負師との1時間にわたる知的バトル

 というわけで、竹中さんと長い時間お話しするのは今回が2回目になるが、竹中さんの印象をひとことで言うと、「勝負師」である。竹中さんがお好きな言葉がいくつかあるようだが、「コンフィデンス(信頼)」というのがその1つであり、今回の対談でも何度も出てくる。昨年の学内でのセミナーの折、竹中さんから「今度の金融危機の特徴をどう考えられますか」という鋭い質問が来たのだが、筆者が答えに戸惑っていると、竹中さんから「お分かりでしょうけれど、これはコンフィデンス・クライシスなのです」というコメントが追い討ちをかけるように飛んできた。政策の成功、失敗を大きく分けるものは、その政策が「コンフィデンス」を植えつけることに成功するかどうかである。そのような哲学を竹中さんはお持ちなのではないかと思う。

 「勝負師との1時間にわたる知的バトル」、今、対談を読み返して感じる印象はこれである。それでは読者にも、じっくりと「知的バトル」を堪能いただきたい。

(写真:大槻純一、以下同)

竹中 平蔵(たけなか・へいぞう)

慶応義塾大学教授、グローバルセキュリティ研究所所長。1951年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行に入行。ハーバード大学、ペンシルバニア大学客員研究員、大阪大学助教授、慶応義塾大学教授などを経て、2001年から小泉内閣で金融担当大臣、経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣を歴任。2004年から2006年まで参議院議員。06年より現職。著書に『構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌』、『はじめてのグローバル金融市場論』(共著)、『竹中式マトリクス勉強法 』ほか多数。



竹森 90年代に日本経済の低迷が長引いたのは、不良債権問題が未解決だったことが原因だったと考えてまず間違いがないと思いますが、今回の欧米を中心とした金融危機も、証券化が絡んでいるために少し性質が違うとは言うものの、やはり銀行のバランスシート問題が片付かないと終わらないような気がします。

 日本はこの問題で何しろ10年以上も苦労したわけですから、こういう問題にどう対処したらよいかを一番知っているはずなのです。それなのに欧米の政府に対する積極的な提案といったものが、ほとんど出てきません。今、日本の経験が何らかの意味でよその国に役に立っているとすれば、それは「反面教師」としてではないでしょうか。つまり、日本のように問題への対応を遅らせていると不況が長引くから、さっさと問題を片付けないといけないといった教訓を外国に与える「反面教師」になっているのです。

 ただし、最近は日本の経験について、外国からも別の見方が出てくるようにました。

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