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政権交代? その前にやることがあるだろう

  • 久保利 英明

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2009年7月28日(火)

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 8月30日の第45回総選挙を前に、株式市場をはじめ世の中のそこここで、政権交代を折り込む空気が広がっている。そこにあるのは、変化への渇望だ。

 バラク・オバマ大統領の誕生に、リーマンショックの激震。さらには911(米同時多発テロ)、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の台頭と、世界は今、政治、経済、社会のあらゆる面で大きな変化の潮流の中にある。

 こうした状況に日本も乗り遅れまいとする気持ちが、8月30日後の姿に投影されているのだろう。しかし、政権交代をすれば、日本にも大変革の嵐が起こり得るのだろうか。

 こうした疑問を投げかけるのは、自民党と民主党の間に明確な対立軸を見出しにくいから、ではない。そもそも政権交代が起きたとしても、それが本当に民意を正確に反映した結果なのかという、民主主義の根幹にかかわる疑念が生じているからだ。

(写真:大槻 純一)

 その根源は一票の格差が2倍以上あることを容認する、今の日本の選挙システム。このシステムでは、1票の平等を徹底して追求していたならば、落選するような候補者も国政の場に関わる事態が発生する。それは与党、野党の候補者に限らない。

 憲法が「国会は、国権の最高機関で、国の唯一の立法機関である」とするように、国会議員は日本の最高権力を手中に収める存在だ。その議員の中に、本来なら予算や外交など、様々な重要案件に関わることのできない人間がいるのだ。この状況は放置し、政権与党を改めるだけで、日本に本質的な変化が果たして起きるのだろうか。

 政権交代熱にうつつを抜かし気味な今だからこそ、1票の格差という現実にしっかりと目を向けなくてはならない。


 升永英俊。この名前を聞いて誰のことやらと思う人も、青色LED(発光ダイオード)の発明者、中村修二氏の職務発明訴訟で中村氏側の弁護人と聞けば、その人物象を想像しやすくなるかもしれない。

 その升永が中村訴訟を同じくらいに国民の関心を高めたいと取り組み始めたのが、国政選挙における1票の格差是正だ。その実現のため、升永が音頭を取って「一人一票実現国民会議」を立ち上げ、昨夕にその設立記者会見を開催した。その場には僕も同席した。

 会見で、1票の格差是正の第1歩として、次回総選挙の際に同時に行われる最高裁判所裁判官国民審査において、議員定数不均衡訴訟で合憲判断した裁判官を不信任にするように、広く国民に呼びかけていく方針を示した。さらには次回総選挙の終了後に、選挙区間の議員一人あたりの選挙人数が不均衡として、選挙無効を求める訴訟を起こしていく計画だ。

文化人、経営者、労働者、評論家など各界から賛同者

 一人一票実現国民会議には、升永と僕を含め約40人が設立発起人として名を連ねている。

 その中には、芸術家の村上隆氏や作曲家の三枝成彰氏、経営者ではオリックスの宮内義彦会長兼グループCEO(最高経営責任者)、楽天の三木谷浩史会長兼社長、森ビルの森稔社長、角川グループホールディングスの角川歴彦会長兼CEO、さらには元連合会長の鷲尾悦也氏や野球評論家の長嶋一茂氏など、様々な分野の著名人が含まれている。

コメント33件コメント/レビュー

国政が、選挙区への利益誘導の場になっているから、一票の格差を温存すべきだという意見に説得力が出てしまうように思います。一票の平等を目指すのであれば、一方で、自分の選挙区のことしか考えられないような議員の存在を排除する動きが必要です。高速道路建設など地方に利益をもたらす政策は国政ではなく、地方政治で対応すべきで、ある意味、今流行の地方分権と国政での一票の平等はセットになっているような気がします。(2009/08/05)

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いただいたコメント

国政が、選挙区への利益誘導の場になっているから、一票の格差を温存すべきだという意見に説得力が出てしまうように思います。一票の平等を目指すのであれば、一方で、自分の選挙区のことしか考えられないような議員の存在を排除する動きが必要です。高速道路建設など地方に利益をもたらす政策は国政ではなく、地方政治で対応すべきで、ある意味、今流行の地方分権と国政での一票の平等はセットになっているような気がします。(2009/08/05)

この議論では「地方蔑視だ!」と怒る方もおられるでしょうが、実は都会は地方で成り立っているのです。地方がしっかりしていないと都会が成り立たないことを都会の人間は相当気づいています。水、食糧、電気、空気(CO2)、大自然、温泉などの癒し場。。。だから大丈夫ですよ、一票の格差が是正された後に都会の人間が地方を無視した施策を支持することは、天に唾するようなものなのです。(2009/07/29)

最高裁判事の不信任投票は、誰がどんな経歴・経験の持ち主なのか全く示されず、形式的な臭いがぷんぷんして嫌いでした。今回のコラムのような情報こそ求めていたものです。コラムの主旨とは外れるかもしれませんが、最高裁判事の投票システムの改善ももっと注目されて欲しいと思います。(2009/07/29)

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