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選挙後を見つめる米国の冷めた視線

日本経済の回復なければ注目に値せず

  • 安井 明彦

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2009年8月30日(日)

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 この夏の米国では、2つの角度から久しぶりに日本の動静に光が当てられた。

 1つは総選挙である。慣れ親しんだ自民党政権の交代が確実視されていたという事実は、さすがに当地メディアの関心を呼んだ。ウォールストリート・ジャーナル紙は、鳩山代表の生い立ちや信条を紹介する記事を掲載した。ニューヨーク・タイムズ紙は、地方における自民党の支持基盤の弱体化を愛媛県松山市発で伝えている。淡白だった近年の日本関連報道とは一味違った扱いである。

「総選挙」よりも「日本経済の回復」を米国は注視

 とは言っても、米国で連日のように総選挙の話題が取り上げられてきたわけではない。内政ではバラク・オバマ政権の医療制度改革を巡る議論が全米で繰り広げられている。海外からのニュースでは、アフガニスタンの選挙の方が扱いは大きかった。

 一般的な米国人にとって、日本の選挙戦の話題は数あるニュースの1つに過ぎない。「変革を主張する民主党」という字面こそ昨年の大統領選挙と共通していても、米国の選挙にまるで自国のことのように熱狂した日本の状況とは別物だ。日本の民主党は「DPJ(Democratic Party of Japanの略称)」と表記されるのが普通で、当地の民主党は「Democrat」で通っている。親近感がわくわけでもない。

 むしろ鮮明に光が当てられたのは、もう1つの日本の話題だったかもしれない。第2四半期の日本の経済成長率がプラスに転じたという報道だ。日本が先進国の中で最悪とも言われる景気減速を抜け出したというニュースは、世界経済が危機の出口に近づいた1つの証しとして歓迎された。

 日本に当てられた2つの光の強弱の違いは、日本の政権交代に対する米国の感触を象徴している。米国の関心は、日本が実際に動き出す姿にある。「政権交代は日本にとって歴史的な出来事かもしれないが、日本が世界経済における新しい位置づけを見出すまでには時間がかかりそうだ」。そんな冷めた視線が感じられる。

 2国間の通商関係という観点では、米国が日本の政権交代を注視すべき論点は少ない。日本の民主党の公約には、「緊密で対等な日米関係」という文言がある。安全保障の分野では、米国もその真意に注目している。しかし通商関係については、日本による牛肉輸入の制限や世界貿易機関(WTO)における米国の反ダンピング法を巡る係争といった問題こそあるものの、いずれも政権交代で方向性が変わるような話ではない。何よりも日米の通商問題は、米国内で大きな論点にならなくなって久しい。

「民主党政権なら米国債離れ?」も大きな懸念にならず

 言い古されてはいるが、米国における貿易面での日本の存在感は、中国にはるかに凌駕されている。2008年の米国の貿易額(輸出+輸入)では、日本はカナダ、中国、メキシコに続く4番目。貿易額に占める割合は6%で、中国(12%)の半分である。貿易赤字では中国に次ぐ2番目だが、総額に対する割合は9%。中国の33%には遠く及ばない。

 1990年代の日本の対米貿易は、米国の全貿易額の16%、貿易赤字の65%を記録したこともある。1990年の中国の対米貿易は、全貿易額の2%、貿易赤字の10%だったから、位置づけは完全に逆転している。

 貿易とは別に、経済面で日本の存在感が引き続き大きい分野もある。米国債の保有残高だ。2009年6月末の時点で、日本の米国債保有残高は7118億ドル(約67兆6000億円)。外国勢の保有総額に占める割合は21%である。貿易と比べれば1位の中国(7764億ドル=約73兆8000億円、23%)との差は開いていない。

 先ごろ就任したジョン・ルース駐日大使の米上院での指名承認の際には、リチャード・ルーガー上院議員から「日本の民主党に米国債離れを主張する向きがあると伝えられるが、そうなったらどのような影響があるか?」という問いが投げかけられている。ルース大使は「管轄は財務省だ」として直接回答しなかったが、米側に問題意識があるのは事実である。それでも、中国がドルの信認に疑問を投げかけた際に見られた激震と比べれば、日本の動向に向けられた関心の度合いは格段に低い。

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