衆院選が間近ですね。「1票ぐらい違ったって・・・」なんてシニカルなことは言わないで、汗水たらした稼いだお金で払う税金の使い道に関して、ぜひ意思表示をしたいところ。
ところで、選挙と株式投資には、双方の理解に役立つアナロジー(類比)が色々とあります。選挙は、主権者が国の舵取りをする代理人を選ぶ行為です。同じ言い方をすれば、投資は、社会にとって必要な存在である企業(≒経営陣)を選ぶ行為となります。両方とも、応援することで最終的に便益を便益を期待するわけですね。
株式市場の取引が企業の応援となる理由
ただ、株式投資がなぜ企業への応援になるのかは、分かりづらいかもしれません。
よく「株式を買うことがなぜ応援することになるのか? 単に株を売った人にお金が移転するだけで、お金は企業に回っていかないだろう」と主張する人がいます。経営者にもたまに、こうした認識を持っている方をお見受けします。
確かに、株式市場の取引では企業にお金が回っていないように見えますが、本当にそうでしょうか。では、もし株式市場がなかったとしたら?
* * *
Aさん:Bさん、僕今度、会社辞めて、事業を立ち上げようと思うんです。
Bさん:ほー、何をするんだい?
Aさん:えーと・・・。
Bさん:おいおい、事業するなら、具体的に何をするのか、マニフェスト、じゃなかった、経営計画が必要だよ。それを持って、応援してくれる出資者を集める。これがないと事業はできないよ。よし、僕が集票、じゃなかった、出資者を連れてきてあげよう。
(しばらく経って、Bさんが、Cさんという出資者を紹介する)
Aさん:Bさん、ありがとうございます。Bさんのお陰で、事業の方は順調です。僕、頑張ります!
Bさん:いやね、Aさん、出資者のCさんが「資金を引き揚げたい」って言っているんだ。なんでも、奥さんが病気らしくて、お金が必要みたいなんだ。
Aさん:えー!? じゃあ、事業資金はどうするんですか!?
Bさん:うーん、僕はもうビジネスから引退するから、後は自分で出資者を見つけてきてくれ。人生イロイロだよ。
Aさん:そんなぁ・・・。
Aさんは、必死で出資者を探して駆けずり回りましたが、なかなか見つかりません。もう事業を諦めようか、と思いかけたところへ、「おう、ワシが応援しちゃる!」と、Dさんが出資に応じてくれて、事業を続けることができました。
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ここでCさんが出資を引き揚げたいと言った時、Cさん自身がDさんを見つけてくれたら、どんなに楽だったでしょう? Cさん自身が新たな出資者を見つけてくれたら、Aさんはいちいち出資者を探す手間が省け、事業に専念できたはずです。その環境を実現するのが、株主市場の役割です。
つまり、株式を売買することは、企業にお金が行っていないように見えますが、実は企業への出資であり、応援となっているのです。投資は、まさに企業への「投票」です。選挙と違うところは、1人1票じゃないことですね。
選挙も投資も、相手の応援を通して社会作りをし、リターンを得る行為です。では、応援に当たって、何を評価基準にすればいいのでしょうか。
選挙では最近、マニフェスト(政権公約)が重要視されるようになりました。サブリミナル効果を狙ったような名前の連呼や、単なる有名人に頼った選挙は、国民にそっぽを向かれつつあります。マニフェストなんてお洒落な言葉が使われていますが、要するに、当選後の行動計画ですね。
しかし、きちんと判断しないと、格好いい言葉に騙されます。単なる配分の変更に過ぎないものをあたかもパイを増やす政策であるかのように語っていたり、逆に、一見バラマキのようだけれども実は今までより社会厚生を引き上げる現時点の最善策だったり。
美辞麗句に惑わされないように、政策の本当の効果を判断できるのが理想ですが、なかなか難しいのも事実。政策に詳しくない人でも分かるように、政策の内容やその効果を翻訳する役割が、日本にはもっと必要かもしれません。政治アナリストと名乗っている人たちは、政治の裏話ばかりでなく、こうした機能をもっと担ってもらいたいと思います。
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